大掃除をラクにするには「整理収納」がカギ
まず整理と収納を整え、最後に掃除をまとめて行う流れが効率的です。掃除は汚れを落とすこと、整理は要る物と要らない物を見直すこと、収納は置き方と置き場所を決めること。この3つは似ているようで役割がちがいます。年末に向けて負担を減らしたいなら、まず整理と収納を整え、最後に掃除をまとめて行う流れが効率的です。
家の中に物が多いほど、どかす・戻すの回数が増えます。場所が決まっていない物があると、置きっぱなしになりやすく、掃除の手間が膨らみます。逆に、持ち物の量を適切に保ち、戻す場所が決まっていると、床やカウンターが空き、拭き掃除や掃き掃除が短時間で済みます。
この記事では、片づけが苦手な人でも始めやすい5つのステップで、年末の大掃除を軽くする整理収納のコツをまとめます。すべてを一度にやる必要はありません。今週できることから、短い時間で少しずつ進めていきましょう。
なぜ掃除の前に整理が必要なのか?
整理を先にすると、掃除の対象が減ります。不要な物を抱えたまま掃除をすると、移動や養生に時間がかかり、気力も消耗します。先に量をしぼることで、掃除の面積が見える化し、やる範囲がはっきりします。結果として、同じ時間でも仕上がりの満足感が高くなります。
「片付け→掃除」の順番で効率が高まりやすい理由
片付けでやるのは、物の種類ごとに数を決め、置く場所を決めることです。順番は、出す→分ける→減らす→収める→表示する、の流れが基本です。先にこれを整えると、掃除ではどかす動きが減り、ワンアクションで拭く・吸うが進みます。収納は8割までを目安にし、2割の余白を残すと、出し入れが引っかかりにくくなります。
ミニQA:整理と片付けのちがいは?
整理は量と中身を見直すこと、片付けは決めた場所へ戻すことです。まず整理で総量をしぼり、次に片付けで動きを楽にします。
ステップ1:収納スペースに“余白”を作ろう
年末の掃除を軽くする第一歩は、棚や引き出しに空きをつくることです。収納に余白がないと、物を戻すたびに入らず、仮置きが増えます。年末の掃除を軽くする第一歩は、棚や引き出しに空きをつくることです。空きがあるほど取り出しやすく、掃除のときに一時置きもしやすくなります。
余白づくりの考え方はシンプルです。よく使う場所から、重なりや詰め込みをやめ、入れ方を立てて見える状態に変えます。可動棚がある場合は、無理なく立てて収まる高さに調整します。詰め替えやラベルは後まわしでかまいません。まずは入れやすさと戻しやすさを優先します。
余白があると掃除がしやすくなるワケ
余白があると、物をどかす動きが減ります。カウンター上が空けば、拭き掃除は布一枚で終わります。引き出しに空きがあれば、来客前にさっと一時避難ができます。さらに、空きがあると在庫が見えやすくなり、重複買いが減ります。結果として、年末の大掃除の前に、普段から軽い掃除で維持できるようになります。
キッチン・洗面所・クローゼットの見直しポイント
範囲:よく使う引き出しや棚を各1か所。
時間目安:各15〜20分。
やること3つ:
- 同じ用途の物をまとめる(カトラリー、ラップ類、歯みがきの替え、靴下など)。
- 直近で使っていない物を手前から外す(別の場所へ一時退避)。
- 立てる・仕切る・重ねないの順で入れ直す。
やらないこと1つ:
- いきなり全部の棚を出し切らない(小さく区切る)。
ミニQA:目標の余白はどれくらい?
引き出しや棚は中身が8割、2割は空きを目安にします。詰め込み感がなく、片手でサッと出し入れできる量が基準です。
ステップ2:「使っている/いない」でモノを仕分け
捨てるかどうかの判断に迷う場合は、使用頻度で考えると進みます。捨てるかどうかの判断に迷う場合は、使用頻度で考えると進みます。よく使う物は近くへ、たまに使う物は少し遠くへ、年に数回しか使わない物はさらに離して保管します。使っていない物は、いきなり手放さず、保留の時間を置く方法もあります。
使用頻度は、毎日、週1、月1、季節、年1の5つに分けると判断しやすいです。ラベルやメモに区分を書いておくと、家族にも伝わります。迷いがちな物は、期限つきの保留ボックスを使い、後から見直す前提にします。
捨てる前に“使用頻度”で判断するコツ
- 直近30日で使ったかを最初の目安にする。
- 使った場面を具体的に言えるか自分に質問する。
- 同じ用途の物が複数ある場合は、一軍を1つ決める。
- 迷う物は、場所を変えても手が伸びるか試す。
下の表は、使用頻度と置き場の関係をまとめたものです。
| 使用頻度 | 置き場所の目安 | 出し入れ回数 | 高さ/位置の目安 |
|---|---|---|---|
| 毎日 | 最短動線・一等地 | ワンアクション | 腰から胸の高さ、手前 |
| 週1 | 主要動線の脇 | 2アクション | 腰より少し下/上、手前 |
| 月1 | サブ動線 | 2〜3アクション | 高所または低所、奥 |
| 季節 | 物置・上段・下段 | 3アクション以上 | 高所/低所の奥 |
| 年1 | 天袋・床下・納戸 | 取り出し補助が必要 | 高所/奥、ラベル必須 |
迷ったモノは「保留ボックス」で後悔を防ぐ
保留ボックスは、決めきれない物を一時的に集める箱です。期限は30日を目安にし、箱のフタや側面に日付を書いておきます。置き場所は目に入るところにします。期限が来たら中身をチェックし、必要なら定位置へ、使わなかった物は手放す方法を検討します。譲渡やリユース回収の情報も合わせて控えておくと、判断が楽になります。
ミニQA:使用頻度の判断に迷ったら?
直近で使った日付を思い出せない物は、頻度が低い可能性が高いです。保留ボックスで試用期間を作り、手が伸びるかどうかで決めます。
ステップ3:動線に合った収納で“散らからない家”へ
散らかりは、物が戻りにくいと起きます。戻しにくさの原因は、動線と高さとアクション数のずれにあります。家の動きを入口から目的地、そして片付ける場所まで追いかけると、引っかかる点が見えてきます。
動線の阻害要因は、止まる・戻る・探す、の3つに分けられます。止まるは通路がふさがること、戻るは取り忘れて二度手間になること、探すは定位置があいまいなことです。これらを一つずつ減らすと、片付けが自然と回り始めます。
生活動線を整えるだけで家事が時短に
- 通路に物を置かないルールを作る(床置きをやめる)。
- よく使う物は入口から近い側に寄せる。
- 戻す場所は主動線上に設定し、脇にそれないようにする。
- 高さは、よく使うほど体の中心に近づける。
キッチン・リビング・洗面所の動線チェックリスト
- キッチン:入口→調理台→コンロ→シンク→片付けの戻し先の順で、止まる箇所がないか。
- リビング:入口→ソファ周り→テーブル→収納の戻し先の順で、探す場面がないか。
- 洗面所:入口→洗面台→洗濯機→物干し→戻し先の順で、手の移動距離が長くないか。
動線を地図のようにスケッチし、止まる/戻る/探すの記号をつけると、改善点がはっきりします。家族にも共有しやすくなります。
ミニQA:家族が定位置に戻さないときは?
定位置に名前のラベルを貼り、同じ種類は1か所に集約します。戻す動きを1回で終わるようにし、扉やフタの数を減らします。
ステップ4:モノがたまりやすい場所を先に整える
家の中で物が集まりやすい場所は、玄関、リビング、冷蔵庫周り、洗面台などです。これらは人がよく通り、物の出入りが多い場所です。先に整えると、全体の印象が大きく変わります。優先順位をつけて、短時間でも効果が出る順に手をつけます。
玄関・リビング・冷蔵庫周りの“詰まりポイント”
- 玄関:郵便物や紙袋の仮置き、靴の出しっぱなし。
- リビング:テーブル上の雑多な物、充電ケーブルの散乱。
- 冷蔵庫周り:在庫の重複、賞味期限切れの見逃し、調味料の過多。
これらの場所は、集約と一時置きのルールづくりが効きます。玄関には紙類の一時トレーを置き、週1で見直します。リビングには戻し先のボックスを1つだけ置き、その日のうちに空にします。冷蔵庫は、扉ポケットに種類別の定位置を作り、中段には早く使う食材を置きます。
家全体をスッキリ見せるための優先順位
見える面積が広い場所から着手します。玄関→リビング→冷蔵庫→洗面台の順は、来客や家族の目につきやすく、満足感が大きい並びです。面を拭く量も多いため、先に物を減らしておくと掃除が短時間ですみます。
下のチェック項目を使い、先に整える場所を選びます。
- 滞在時間が長いか。
- 目に入る面積が広いか。
- 物の出入りが多いか。
- 片付けの戻し先が遠くないか。
ミニQA:一日で整えるならどこから?
玄関とリビングの平面を優先します。床とテーブルが見えるだけで、家全体が片付いた印象になります。
ステップ5:収納グッズを買う前に“減らす”を徹底
収納用品を先に買うと、置き場所が増え、物の量も増えがちです。まずは量を減らし、定位置を決め、最後に必要な分だけ道具を選びます。採寸や素材選びは、実際に物が決まってからの方が失敗が少なくなります。
買い足しの前に「必要・不要」を見極める
- カテゴリーごとに数を決める(ふきんは5枚まで、など)。
- 収納は8割までにする(入らない分は見直すサイン)。
- 同じ用途は1つに絞る(お気に入りを一軍に)。
定位置を決めてから収納用品を選ぶのが鉄則
- 採寸:幅・奥行き・高さを内寸で測る。
- 素材:拭きやすい素材を優先する。
- 取り出し:出し入れ回数が多い物はフタを減らす。
- 清掃性:水洗いできるか、分解できるかで選ぶ。
買う前と買った後の違いを表で整理します。
| タイミング | 状態 | 費用 | 手間 | 継続性 | 掃除のしやすさ |
|---|---|---|---|---|---|
| 買う前 | 量を見直し中。定位置は仮決め | 低い | 測る・試すに時間 | 高い(不要品が減る) | 高い(面が空く) |
| 買った後 | 置き場が増えて量が増えやすい | 中〜高い | 合わない場合は調整が必要 | 低い(増えやすい) | 低い(物が増える) |
ミニQA:収納グッズの失敗を避けるチェック項目
採寸は内寸で測る、扉や配線に当たらないか確認、床からの浮きが掃除の邪魔にならないか、ラベルの貼り替えが簡単か、を事前にチェックします。
まとめ:整理収納で大掃除をラクに乗り切ろう
年末に慌てない家は、日々の小さな片付けを重ねています。今日できることを3つにしぼり、1週間単位で続けると、負担はぐっと軽くなります。最後に、7日間のミニ計画を用意しました。自分の暮らしに合わせて入れ替えて使ってください。
- 1日目:玄関の床と靴の見直し。紙類は一時トレーへ集約。
- 2日目:キッチンの一軍引き出し。ラップ・カトラリーの余白づくり。
- 3日目:冷蔵庫の中段。早く使う物を中央に、在庫メモを作る。
- 4日目:洗面台下。詰め替え容器を見直し、ボトル数をしぼる。
- 5日目:リビングのテーブル周り。充電と文具の戻し先を1か所へ。
- 6日目:クローゼットのトップス。ハンガー本数で上限を決める。
- 7日目:保留ボックスの見直し。使わなかった物の行き先を決める。
今から始めるだけで年末の負担が激減
短時間でも、範囲をしぼって進めれば十分です。毎日15分でも、7日で1時間半の前進になります。面が空けば掃除は一気に楽になります。
スッキリ暮らしで新しい年を迎えるために
今日やる3つ:
- 棚や引き出しを1か所だけ8割までにする。
- 30日期限の保留ボックスを作る。
- 玄関とリビングの床とテーブルを空ける。
やめる1つ:
- 収納用品を先に買うこと。
ミニQA:忙しくても続ける最低限の習慣は?(5分リセット・仮置き撤廃)
1日の終わりに5分だけ、よく使う場所をリセットします。仮置きの定着を防ぎ、翌日のスタートが軽くなります。

