身長をものさしにするとどんないいことがある？
日常生活では、「ここからあそこまで、何メートルくらいかな？」と考える場面がよくあります。ですが、メジャーやスケールをいつも持ち歩いている人は多くありません。数字が少し苦手だと、「3メートル」「5メートル」と言われても、ぱっとイメージしにくいこともあります。
そんなときに役立つのが「自分の身長をものさしにする」という考え方です。自分の身長は、だれでもなんとなく覚えています。この「自分の高さ」を基準に考えると、メジャーがなくても、だいたいの距離や高さを想像しやすくなります。
身長をものさしにすると、次のようないいことがあります。
- メジャーがなくても、おおよその長さを知ることができる
- 子どもにも説明しやすく、親子で同じ「ものさし」を使える
- 家具や家電を買うとき、サイズをイメージしやすくなる
- おでかけや旅行のとき、建物や景色の大きさを楽しみやすくなる
たとえば、ソファーを買うときに「横160センチ」と書いてあっても、数字だけではピンとこないことがあります。しかし、「自分の身長より少し短いくらい」と分かれば、部屋に置いたときのイメージがしやすくなります。
また、子どもに「この木、何メートルくらいあるかな？」と聞かれたときも、「あなたの身長がだいたい130センチだから、それを3人分くらい重ねた高さだよ」というように伝えれば、子どもも想像しやすくなります。
このように、身長という「身近な数字」を使うことで、日常のあちこちにある距離や高さが、少しずつ具体的に感じられるようになります。
小学生でも身長で距離をイメージできますか？
小学生でも、身長をものさしとして使うことは十分にできます。自分の身長や、家族の身長を「だいたいこのくらい」と覚えるだけでも、距離を考えるきっかけになります。むずかしい計算をしなくても、「自分が何人分か」という考え方なら、低学年の子どもでもイメージしやすいです。
まずは自分と家族の身長をざっくり覚えよう
身長をものさしにするには、まず「自分の身長」を知ることから始めます。すでに健康診断や学校の身体測定で知っている人も多いと思います。ここでは、ミリ単位まで正確に覚える必要はありません。
「だいたい何センチくらいか」を知っておくだけでも、日常ではじゅうぶん役に立ちます。たとえば、次のような感じです。
- 子ども: 約120センチ
- 中学生くらい: 約150センチ
- 大人: 約160〜170センチ
家族で一度、「わたしはだいたい何センチくらい」と紙に書き出してみるのもおすすめです。冷蔵庫やカレンダーの近くにはっておくと、いつでも見返せて便利です。
身長をメートルに直すときは、「センチメートル ÷ 100」で考えます。たとえば、150センチなら「1.5メートル」です。ここでも、細かい数字はあまり気にせず、ざっくりで大丈夫です。
代表的な身長と、メートルでの長さを簡単な表にすると、次のようになります。
| だいたいの身長 | メートルでの長さのおおよそ |
|---|---|
| 120センチ | 約1.2メートル |
| 140センチ | 約1.4メートル |
| 150センチ | 約1.5メートル |
| 160センチ | 約1.6メートル |
| 170センチ | 約1.7メートル |
日常では、「1.53メートル」のように細かく考える必要はありません。「150センチなら1.5メートルくらい」といった、ゆるい感覚で十分です。
この感覚があるだけで、「自分1人ぶん」でどのくらいの長さになるかが分かります。さらに、「自分2人ぶん」「子ども3人ぶん」というように考えると、もっと長い距離もイメージしやすくなります。
たとえば、身長150センチの人なら、
- 自分1人ぶん → 約1.5メートル
- 自分2人ぶん → 約3メートル
- 自分3人ぶん → 約4.5メートル
というように考えられます。
数センチの差は、ここではあまり気にしなくて大丈夫です。「自分2人ぶんで3メートルくらい」とざっくり覚えておくと、あとでいろいろな場面で使いやすくなります。
身長はきっちり測ったほうがいいですか？それともだいたいで大丈夫ですか？
日常で距離をイメージする目的であれば、身長はだいたい分かっていれば十分です。センチ単位で正確に知らなくても、「だいたい150センチくらい」「だいたい160センチくらい」と分かれば活用できます。もし気になる場合は、健康診断の結果や、最近の身体測定の記録を参考にするとよいでしょう。
身長を横に並べて「長さ」をイメージするコツ
身長をものさしとして使うとき、分かりやすいのが「横の長さ」を考える方法です。道の幅や部屋のよこ、机の列の長さなどは、身長を横に並べるイメージで考えることができます。
いちばん基本になる考え方は、「自分が寝転んだ長さ」を頭の中で何回か並べていく、というイメージです。実際にその場で寝転ぶ必要はありません。頭の中で、自分の体が何人分か並んでいる様子を想像します。
たとえば、身長150センチの人がいたとします。この人が「部屋のよこの長さ」を知りたいときは、次のように考えます。
- 自分1人ぶん → 約1.5メートル
- 自分2人ぶん → 約3メートル
- 自分3人ぶん → 約4.5メートル
実際の部屋を見ながら、「自分が3人くらい寝転んだらちょうどよさそうだな」と感じたら、その部屋のよこは「だいたい4.5メートルくらい」とイメージできます。
同じように、次のような場所でも使えます。
- 廊下の長さ
- 駐車場の1台ぶんの幅
- ダイニングテーブルのよこ
- ソファーやベッドの長さ
たとえば、駐車場の1台ぶんの幅が「自分1人半くらいかな」と感じたら、その幅は「だいたい2メートルちょっと」というイメージになります。
また、よく出てくる長さを、身長で置きかえて練習しておくと、より考えやすくなります。ここでは身長150センチの人を例にして、いくつか見てみます。
- 3メートル → 自分2人ぶん
- 5メートル → 自分3人ちょっとぶん
- 10メートル → 自分6〜7人ぶん
もちろん、身長が違えば人数も少し変わります。自分の身長に合わせて、「3メートルなら自分何人ぶんくらいか」を一度考えておくと、あとでいろいろな場面で応用しやすくなります。
お店の中や、道路の近くなど、実際に寝転べない場所では、頭の中でイメージするだけで十分です。「ここは自分が何人ぶんくらいかな」と、心の中でそっと数えてみるだけでも、距離の感覚が少しずつ育っていきます。
ただし、この方法で出した長さは、あくまで「ざっくりした目安」です。ほんとうの長さとは、少しずれることがあります。それでも、「まったく見当がつかない」状態から、「だいたいこのくらい」と思えるようになるだけで、大きな進歩と言えます。
寝転べない場所の長さも、身長でイメージできますか？
はい、実際に寝転ばなくても、頭の中でイメージするだけでかまいません。自分の身長を思い出し、「ここに自分が何人ぶんか並んでいる」と想像してみましょう。これを何度かくり返すうちに、少しずつ距離のイメージがつかめるようになっていきます。
身長を積み重ねて「高さ」を想像してみよう
次は、「高さ」を身長で考える方法です。高さは、長さよりもイメージしにくいことが多いですが、身長を積み重ねて考えると、少し分かりやすくなります。
まずは、建物の高さを考えてみましょう。たとえば、身長160センチの人の場合、
- 自分1人ぶん → 約1.6メートル
- 自分2人ぶん → 約3.2メートル
- 自分3人ぶん → 約4.8メートル
となります。
一般的に、家の1階の天井の高さは、2.4メートル前後と言われることが多いです。かなりざっくりしたイメージですが、
- 1階の高さ → 自分1人半くらい
- 2階の高さ → 自分3人くらい
- 3階の高さ → 自分4〜5人くらい
と考えると、建物の高さを身長でイメージしやすくなります。
公園の遊具でも、身長を積み重ねるイメージは役立ちます。
- 2メートルくらいのすべり台 → 子どもの身長1.5〜2人ぶん
- 3メートルくらいのジャングルジム → 子どもの身長2〜3人ぶん
- 5メートルくらいの高い遊具 → 大人の身長3人ぶんちょっと
このように、「自分の身長を何人分か重ねた高さか」を考えてみると、遊具や建物が、少し身近に感じられるかもしれません。
また、「何メートルくらいから高く感じるか」は、人によってちがいます。2メートルでもこわいと感じる人もいれば、5メートルでも平気な人もいます。
大切なのは、自分が「高いな」「ちょっとこわいな」と感じた気持ちを大事にし、無理に高いところに近づいたり、がまんしてのぼったりしないことです。安全な場所から、「あの高さは自分の身長何人分くらいかな」と想像するだけでも、十分楽しめます。
高さを考えるときは、足元の安全にも気をつけましょう。道の近くや階段の上など、転ぶと危ない場所では、あまり夢中になりすぎないようにしたいところです。
なお、高さのイメージをもっとくわしく知りたいときは、20メートルを身近なものにたとえた解説も参考になります。
何メートルくらいから「高い」と感じる人が多いですか？
どのくらいから高く感じるかは、人によってかなりちがいます。2メートルほどでもこわいと感じる人もいれば、もっと高い場所でも平気な人もいます。一般的には、自分の身長よりかなり高くなると、多くの人が「ちょっとこわい」と感じやすいようです。大切なのは、無理をせず、自分が安心できる範囲で楽しむことです。
歩幅と身長を組み合わせると距離がもっと分かりやすくなる
身長でものさしを作ると、目で見た長さや高さをイメージしやすくなります。さらに、「歩幅」という考え方をくわえると、実際に歩きながら距離をつかむこともできるようになります。
歩幅とは、「ふつうに1歩歩いたときの、足と足の間の距離」です。人によってちがいますが、大人ではおよそ60センチ前後になることが多いと言われます。
自分の歩幅をざっくり知るには、次のような方法があります。
- まっすぐな通路や廊下で、スタートラインを決める
- いつも通りの歩き方で、10歩ぶん歩く
- スタート地点から足元までの長さをメジャーなどで測る
- 測った長さを10で割る
たとえば、10歩歩いて6メートルだった場合、
6メートル ÷ 10歩 = 1歩あたり0.6メートル（60センチ）
という計算になります。計算がむずかしく感じる場合は、家族や電卓の力を借りてもよいでしょう。
歩幅と身長には、あるていどの関係がありますが、人それぞれちがいます。背が高いほど歩幅も大きくなることが多いですが、歩き方のくせや速さによっても変わります。そのため、ここでもあくまで「ざっくりした目安」として考えるのがおすすめです。
おおよその目安として、次のようなイメージを持っておくと便利です。
| 身長の目安 | 歩幅の目安 | 10歩歩いたときのおおよその距離 |
|---|---|---|
| 140センチくらい | 約50センチ | 約5メートル |
| 160センチくらい | 約60センチ | 約6メートル |
| 170センチくらい | 約70センチ | 約7メートル |
これはあくまで一例であり、すべての人にあてはまるわけではありません。実際に自分で測ってみて、「自分の1歩はだいたい何センチくらいか」を知ることが大切です。
身長と歩幅の両方を知っておくと、「目で見た長さ」と「歩いたときの感じ」をセットで考えられるようになります。たとえば、「あの電柱まで10歩くらいだったから、だいたい6メートルくらいかな」といった具合です。
また、通学や通勤の道で、「家から信号まで何歩くらいか」「駅まで何歩くらいか」を数えてみるのも良い練習になります。歩数と距離の関係がなんとなく分かってくると、地図を見るときや、移動時間を考えるときにも役立ちます。
子どもの歩幅を一緒に測るときは、「何歩でここまで行けるかな？」というゲームにすると楽しみながら取り組めます。正解をぴったり当てることよりも、「どのくらいかな」と考えること自体を大事にすると、数字が苦手な子どもでも参加しやすくなります。
子どもの歩幅は、どうやってだいたいの長さを決めればいいですか？
子どもの歩幅も、大人と同じように実際に測ってみるのがいちばん分かりやすいです。10歩分を測って、全体の長さを10で割れば、おおよその歩幅が分かります。むずかしい計算をする必要はなく、「だいたい50センチくらい」など、ざっくりした数字で十分です。
親子でできる「身長ものさし」遊びアイデア
身長をものさしにする考え方は、遊びの中にも取り入れることができます。親子や友だち同士でゲームのように楽しむと、自然と距離のイメージに慣れていくことができます。
家の中でできる簡単な遊びとして、次のようなものがあります。
- この壁まで何メートルクイズ
- テーブルのよこは何人ぶんゲーム
- ソファーの長さ当てクイズ
やり方は、とてもシンプルです。
- 親が「ここからあの壁まで、何メートルくらいだと思う？」と子どもにたずねる
- 子どもは「自分の身長何人ぶんか」を考えて、メートルに変えてみる
- 最後にメジャーやスマホアプリで、ほんとうの長さを測ってみる
これだけでも、「考える → 予想する → 答え合わせをする」という流れを楽しむことができます。
公園や広場では、次のような遊びもおすすめです。
- 自分の身長何人分ゲーム（遊具や木の高さを、自分何人分かで予想する）
- 何歩でゴールできるかゲーム（あらかじめ決めた位置まで、何歩で行けるか予想する）
どの遊びでも、「ぴったり当てること」より、「どうやって考えたか」を話し合うことが大切です。少しずれていても、「おしいね」「次はこう考えてみよう」と声をかければ、子どもは楽しく続けられます。
また、距離や高さの数字に苦手意識がある子どもにとっては、「ゲームとして取り組める」ことが大きな助けになります。学校のテストではなく、家族で楽しむ遊びの一つとして身長ものさしを使えば、自然と距離の感覚が育っていきます。
遊びの中でも、ある程度の距離感は身につきますか？
はい、遊びながらでも、距離のイメージを少しずつ身につけることはできます。むしろ、楽しみながらくり返すことで、「なんとなく分かる」という感覚が育ちやすくなります。正確な数字を覚えさせるより、「だいたいこのくらいかな」と自分で考える習慣づけが大切です。
身長でものさしをするときの注意点と上手な使い方
最後に、身長をものさしとして使うときの注意点と、上手な使い方をまとめます。
まず、身長や歩幅には、個人差が大きくあります。背の高さがちがえば、同じ「自分1人ぶん」でも、長さはかなりちがいます。また、歩く速さや歩き方によって、歩幅も変わります。そのため、身長や歩幅を使った方法は、正確な測定には向いていません。
この方法は、「だいたいこのくらいかな」という目安を知るためのものです。工事の長さを決めたり、スポーツの記録をはかったり、細かい設計をするときなどには、専用の道具や専門的な情報を使う必要があります。
また、身長でものさしをするときは、安全面にも十分注意しましょう。
- 道路の真ん中に立ち止まって長さを考えない
- 崖や川の近く、高い場所のへりなどに近づきすぎない
- 階段や段差の多い場所で、足元を見ないまま考え込まない
距離を考えることに夢中になりすぎると、まわりが見えなくなることがあります。身長ものさしは、安全な場所で、落ち着いて試すようにしましょう。
より正確な長さを知りたいときは、メジャーやスマホアプリ、レーザー距離計など、専用の道具を使う方法もあります。身長ものさしと道具の両方を上手に使い分けられると、日常生活がより便利になります。
身長をものさしにする方法は、日常の中で「距離や高さを少し身近に感じる」ための工夫です。数字が苦手な人でも、自分や家族の身長を基準にすれば、すこしずつ距離のイメージを育てていくことができます。
大切なのは、「正しいかどうか」だけを見るのではなく、「自分なりに考えてみる」ことをくり返すことです。少しずつ、日常のいろいろな場面で、身長ものさしを試してみてください。
なお、ざっくりした目安ではなく、もっとくわしく距離を知りたいときは、スマホや道具を使った距離の測り方を紹介している情報も参考になります。
身長で距離を測るとき、どのくらいの誤差なら目安として考えてよいですか？
身長を使った方法では、数十センチほどの誤差が出ることもよくあります。目安としては、「だいたい何メートルくらいか分かればよい」という場面で使うのがおすすめです。正確な数字が必要なときは、メジャーや専用の道具、信頼できる情報を利用しましょう。
