もっと伝わる!「一緒に仕事ができて嬉しかった」を深掘りガイド
前回の内容を土台に、相手別・場面別の言い回し、メールやスピーチの型、NG表現の直し方まで、実務でそのまま使える形に掘り下げました。やさしい日本語を基本に、丁寧で温度のある敬語へ整えていきます。
心に届く文の組み立て方(超シンプル設計)
核は「相手・成果・学び」の3点セット
- 相手:お名前/役割への敬意(例:「◯◯様のご指導のもと」)
- 成果:一緒に成し遂げた具体(例:「納期前倒しでのリリース」)
- 学び:自分の成長・感謝(例:「意思決定の速さを学びました」)
この3点を1〜2文ずつ置けば、短くても礼が立ち、長くても冗長になりにくいです。
PREPで1分スピーチに強くなる
- P(結論):ご一緒できて嬉しかった/光栄でした。
- R(理由):◯◯の場面で◯◯を支えていただいた。
- E(具体例):数値・出来事・一言を1つ。
- P(再結論):感謝+今後の抱負/ご健勝を祈念。
長さ別テンプレ(コピペOK)
- 30秒:「本日は、ご一緒できたことを心より嬉しく存じます。特に◯◯の場面で◯◯をご示唆くださり、無事に◯◯を達成できました。学びを次に活かします。ありがとうございました。」
- 150字:「このたびは◯◯案件でご一緒させていただき、誠に光栄でした。◯◯様の的確なご助言により、◯◯を期限前に完了できました。意思決定の速さと段取りを学びました。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」
- 400字:相手・成果・学びを各2文に増やし、今後の関わり(再会の希望/引き継ぎの安心)を1段足します。
相手別:NG/OK表現 早見表
宛先 | NG例 | 理由 | OK例(言い換え) |
---|---|---|---|
上司 | めっちゃ楽しかったです | 口語で軽い | ご一緒でき、大変嬉しく存じます/光栄でした |
同僚 | ご指導賜り…(多用) | 上下感が強い | 一緒に進められて心強かったです/助かりました |
取引先 | 今後も仲良くしてください | カジュアル | 今後とも変わらぬお付き合いを賜れますと幸いです |
先輩 | おかげさまで成長しました!(だけ) | 抽象的 | ◯◯の場面でのご助言により、◯◯を習得できました |
後輩 | 精進しなさい(断定) | 高圧的 | 今後の活躍を楽しみにしています/期待しています |
シーン別テンプレート集
退職(社内一斉メール)
件名:退職のご挨拶(◯◯部 ◯◯)
各位 本日をもちまして退職いたしました。◯◯案件では皆様とご一緒でき、大変嬉しく存じます。特に◯◯の局面で頂いたご助言により、◯◯を前倒しで達成できました。ここでの学びを胸に、次の環境でも精進いたします。皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
退職(取引先向け)
件名:ご挨拶(担当交代のご連絡)
株式会社◯◯ ◯◯様 平素よりお世話になっております。◯◯の◯◯でございます。私事ながら◯月◯日付で退職の運びとなりました。御社とご一緒できましたこと、誠に光栄に存じます。引き継ぎは◯◯(連絡先:◯◯)が担当いたします。今後とも変わらぬご厚情を賜れますようお願い申し上げます。
異動(社内)
件名:異動のご挨拶(◯◯部→◯◯部)
このたび◯月◯日付で◯◯部へ異動いたします。◯◯プロジェクトで皆様とご一緒でき、学びの多い毎日でした。新天地でも精進いたします。引き続きご指導のほどお願い申し上げます。
プロジェクト完了後(社内・社外兼用)
件名:◯◯PJ完了の御礼
◯◯案件では、ご一緒させていただきありがとうございました。要件定義の局面で頂いた示唆により、主要KPIを達成できました。学びを次案件へ活かしてまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
送別会スピーチ(60秒)
本日はお時間をいただきありがとうございます。◯◯さんとご一緒できたこと、心より嬉しく存じます。特に◯◯の場面での一言「◯◯」に救われ、チームが前へ進めました。新天地でのご活躍をお祈りします。またご一緒できる日を楽しみにしています。ありがとうございました。
メッセージカード(短文)
- ご一緒できて心強かったです。新天地でもご健勝を!
- 学びの多い時間をありがとうございました。またのご縁を願っております。
チャット・社内SNS
- ◯◯さん、今回ご一緒できて本当に嬉しかったです。次回もぜひ!
- ◯◯の助言、助かりました。学び多しでした。感謝です!
英語メール(簡潔)
Subject: Thank you for your collaboration
Dear Ms. ◯◯, It was a pleasure working with you on the ◯◯ project. Your guidance on ◯◯ helped us deliver ahead of schedule. I truly appreciate the opportunity and look forward to working together again. Best regards,
メールの作法をもう一歩
件名の型(開封されやすい)
- 【御礼】◯◯プロジェクト完了のご報告
- 【ご挨拶】異動のご連絡(◯◯→◯◯)
- 【退職のご報告】担当交代のお願い
季節の挨拶(使い回しやすい)
月 | ひと言 |
---|---|
1–2月 | 寒さ厳しき折、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。 |
3–4月 | 春寒のみぎり、ますますのご発展をお祈りいたします。 |
5–6月 | 新緑の候、平素よりお力添えに感謝申し上げます。 |
7–8月 | 猛暑の折、どうぞご自愛くださいませ。 |
9–10月 | 秋涼の候、引き続きよろしくお願い申し上げます。 |
11–12月 | 年末ご多忙の折、変わらぬご厚情に御礼申し上げます。 |
結びの言葉バリエーション
- 今後のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
- またご一緒できる機会を心待ちにしております。
- 引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬語のしくみミニ講座
- 尊敬語(相手を立てる):召し上がる/ご覧になる/お越しになる
- 謙譲語(自分を下げる):拝見する/伺う/ご一緒させていただく
- 丁寧語(文体):です・ます/ございます
- 美化語(語感):お写真・ご連絡(乱用しすぎない)
よくある失敗→こう直す(Before / After)
- Before:今回は本当に楽しかったです。
After:このたびご一緒でき、大変嬉しく存じます。 - Before:色々ありがとうございました。
After:特に◯◯の場面でのご助言に、心より感謝申し上げます。 - Before:また何かあれば。
After:またのご縁に恵まれました際は、ぜひお力添えさせてください。
一言添えると効く「追伸(P.S.)」集
- P.S. ◯◯の資料、次期案件でも参照できるよう整理してお送りします。
- P.S. ◯◯様の「◯◯」というお言葉、今後も指針にいたします。
返信が来たときの返し方(簡潔で丁寧)
上司からの労いに
ご丁寧なお言葉を頂戴し、恐縮に存じます。頂いた学びを次の業務で形にいたします。引き続きご指導のほどお願い申し上げます。
取引先からの御礼に
温かいお言葉をありがとうございます。今後とも変わらぬご支援を賜れますと幸いです。
同僚からのメッセージに
こちらこそありがとう。次回もぜひ一緒にやりましょう!
Q&A(よくある悩み)
- Q:「嬉しい」と「楽しい」はどちらが無難?
A:ビジネスでは「嬉しい」「光栄」が無難。「楽しい」は社内カジュアル向け。 - Q:長文になりがちです。
A:相手・成果・学びの各1文+結び1文=4文を上限に。 - Q:複数名に送り分けたい。
A:共通文+各人の具体1文(固有のエピソード)で温度を上げる。
追加フレーズ(状況別ストック)
- 短納期の案件後:厳しい条件下でのご指示の明快さに救われました。
- メンタリングへの御礼:都度のフィードバックで視野が広がりました。
- 初めての取引後:初回にもかかわらず温かいご対応を賜り、感謝申し上げます。
まとめ(今日から使える要点)
- 型:相手・成果・学び+結びで、短く上品に。
- 言い換え:「楽しい→嬉しい/光栄」「ありがとうございました→心より感謝申し上げます」。
- 具体化:場面・数値・一言を1つ入れると格段に伝わる。
- 温度:社外はフォーマル、社内は丁寧+少し柔らかく。
- 習慣化:テンプレを自分用に2〜3本持ち、すぐ出せるように。
「一緒に仕事ができて嬉しかった」を、相手に合わせて温度よく。今日のテンプレをそのまま使い、あなたらしい一文を1つ足す——それだけで印象は大きく変わります。