歩幅ってなに？一歩の長さで距離をはかる考え方
歩いているとき、私たちはあまり意識せずに足を前に出しています。でも実は、一歩一歩の長さには「歩幅」という名前があります。歩幅とは、自分がふつうに一歩歩いたときの、足が進んだ長さのことです。
この歩幅を「自分だけの物差し」として使うと、メジャーや定規がなくても、だいたいの距離を知ることができます。たとえば、「さっきまでに何メートルくらい歩いたかな？」と気になったとき、歩数と歩幅が分かっていれば、おおよその距離を計算できます。
ふだんは、距離を知るときにメジャーやメートルの表示を使います。学校のグラウンドや道路には、何メートルと書いてある場所もあります。また、「20メートルってどのくらい？」のように、長さそのものを身近なものでたとえて考えることもあります。歩幅を覚えておくと、こうした距離のイメージもしやすくなります。
もちろん、歩幅で測った距離は、とても正確なものではありません。歩き方や体調によっても変わります。それでも、おおよその長さが分かるだけでも、日常生活では十分役に立つことが多いです。特に、メジャーが届かない場所や、外出先で長さを知りたいときなどに便利です。
このあと、歩幅のおおよその目安や、自分の歩幅の測り方、歩幅を使った距離の計算方法を、やさしく説明していきます。最後まで読むころには、「自分の一歩で、だいたいの距離をはかれる」という感覚が、きっと身についているはずです。
歩幅を使っても、本当に距離はわかりますか？
歩幅で出した距離は、きっちりした数字ではなく「だいたいこのくらい」という目安です。坂道や疲れなどで歩幅は変わるので、正確な測定が必要なときはメジャーなどの道具を使いましょう。ただし、日常生活で距離の感覚をつかむには、歩幅でも十分役に立ちます。
大人と子どもの歩幅の目安はどのくらい？
歩幅は、人の身長や歩き方によって変わります。同じ大人でも、背が高い人と低い人では、一歩の長さが少しちがいます。まずは、大人と子どもの歩幅の目安を見てみましょう。
ここで紹介する数字は、あくまで「多くの人がおおよそこのくらい」という目安です。自分が必ずこのとおりになるわけではありませんが、歩幅をイメージする参考にはなります。
たとえば、次のようなイメージです。
- 大人の男性：だいたい70センチ前後
- 大人の女性：だいたい60センチ前後
- 小学生くらいの子ども：だいたい50センチ前後
これを簡単な表にすると、次のようになります。
| 人のタイプ | 歩幅のおおよその目安 |
|---|---|
| 大人の男性 | 約70cm |
| 大人の女性 | 約60cm |
| 小学生くらいの子ども | 約50cm |
もちろん、この表どおりにならない人もたくさんいます。身長が高い女性は、70センチ近くになることもありますし、ゆっくり歩く人は少し短くなることもあります。逆に、大股で元気よく歩く子どもは、50センチより長くなるかもしれません。
大切なのは、「自分の歩幅はこのあたりに近いかな」と目安を持つことです。このあと説明する方法で、自分の歩幅を実際に測ってみれば、本当にどのくらいかが分かります。表の数字と比べて、「自分はちょっと長いな」「少し短いな」と感じるのも、よい学びになります。
歩幅は、靴の種類によっても変わります。スニーカーとサンダルでは、歩きやすさがちがうため、自然と歩幅も変わります。運動靴で歩くときと、革靴で歩くときでは、一歩の長さが少しちがう人もいます。
このように、歩幅は「人によってちがうし、同じ人でもそのときによって変わる」ものです。だからこそ、あとで自分の歩幅を測ることが大切になります。次の章では、実際にどうやって自分の歩幅を測るのかを、順番に見ていきましょう。
平均の歩幅と自分の歩幅がちがっていても大丈夫ですか？
平均の歩幅は、多くの人をならしたときのおおよその数字です。自分の歩幅が平均より長くても短くても、心配する必要はありません。大事なのは、自分の歩幅がどのくらいかを知っておくことです。自分の数字をもとに距離を考えれば、その人にとってはそれが一番使いやすい物差しになります。
自分の歩幅をかんたんに測る方法
それでは、実際に自分の歩幅を測ってみましょう。ここでは、家や学校、公園などでできる、むずかしくない方法を紹介します。準備できるものや場所に合わせて、やりやすいやり方を選んでください。
いちばん基本的な方法は、次の三つのステップです。
- まっすぐな距離を決める
- その距離をふつうの歩き方で歩き、歩数を数える
- 距離を歩数で割って、一歩あたりの長さを出す
たとえば、10メートルのラインが引いてある場所があれば、とても分かりやすいです。学校のグラウンドや体育館には、距離の目安が書いてあることもあります。その場合は、その線のスタートからゴールまでを、ふつうの速さで歩いてみましょう。
スタートの線のところに立ち、いつもどおりの歩き方で歩き始めます。このとき、無理に大股で歩いたり、小さく歩いたりしないようにします。普段の歩き方に近いほうが、日常で使いやすい歩幅になります。ゴールの線まで歩いたら、何歩だったかを数えておきます。
たとえば、10メートルを14歩で歩いたとします。この場合、10メートルを14で割るので、一歩あたりの長さはおよそ0.71メートル、つまり71センチくらいということになります。このように、距離を歩数で割ると、自分の歩幅がおおよそ分かります。
家の中や公園などで、10メートルなどの線がない場合は、メジャーや巻き尺を使って、まっすぐな距離を作ります。廊下や庭などで、5メートルでも構いません。距離が短い場合は、何回かくり返して歩き、平均を取ると、より落ち着いた数字になります。
もしメジャーがない場合は、あとで説明する「歩幅で距離を出す方法」と組み合わせて、おおよその歩幅を決めていくこともできます。ただし、一度はメジャーを使って測っておくと、自分の歩幅をより正しくつかみやすくなります。
測るときは、安全も大切です。まわりに物がないか、足もとがすべらないかを確かめてから行いましょう。特に子どもと一緒に行うときは、走らずに、ゆっくりと歩くことを意識してもらうと安心です。
メジャーがなくても歩幅は測れますか？
メジャーがない場合でも、ある程度の距離が分かっている場所を使えば、歩幅を測ることはできます。たとえば、学校の廊下の長さや、体育館の一辺の長さなどが分かっていれば、その上を歩いて歩数を数えればよいです。ただし、自分で距離をよく分かっていない場所で測ると、歩幅の数字もあいまいになるので注意しましょう。
歩幅と歩数から「だいたい何メートル？」を出す計算のしかた
自分の歩幅が分かったら、つぎは歩数と組み合わせて、歩いた距離を計算してみましょう。考え方はとてもシンプルで、基本は「歩数 × 歩幅 ＝ 距離」です。
たとえば、自分の歩幅が70センチだったとします。この人が100歩歩くと、70センチが100回くり返されたことになります。70センチは0.7メートルなので、計算すると0.7メートル × 100歩 ＝ 70メートル、ということになります。
数字だけだとイメージしにくいので、もう少し簡単な計算例で考えてみましょう。
- 歩幅が50センチの人が、100歩歩く
- 50センチは0.5メートル
- 0.5メートル × 100歩 ＝ 50メートル
このように、自分の歩幅をメートルに直して、それに歩数をかけると、だいたいの距離が分かります。もし小数点が苦手な場合は、「だいたいこのくらい」と四捨五入して考えてもかまいません。
たとえば、歩幅が65センチくらいの人は、「1歩でだいたい0.7メートル」と考えてしまってもよいでしょう。少し多めに出ますが、毎回細かい計算をするよりも、暗算しやすいほうが使いやすい場面も多いです。
計算が苦手な人は、「何歩でだいたい何メートルか」という組み合わせを、いくつか覚えておくのもおすすめです。たとえば、歩幅が70センチの人なら、「70歩で約50メートル」「140歩で約100メートル」というように、わかりやすい数だけ覚えておくと、外出先でもすぐに距離のイメージができます。
距離のイメージを持つためには、決まった長さがどのくらいかを知っておくことも大切です。たとえば、20メートルがどれくらいか、身近なものに置きかえて考えてみると、自分の歩幅で20メートルを歩いたときの感覚もつかみやすくなります。
20メートルの長さを身近な物で知りたいときは、20メートルってどのくらい？身近なものを使って高さや長さをわかりやすくイメージ！も参考になります。
計算が苦手でも、ざっくり距離を知る方法はありますか？
計算が苦手な場合は、「およその数字」で考える方法がおすすめです。たとえば、歩幅を少し切りのよい数にして、「1歩をだいたい70センチとする」などと決めておきます。そして、「100歩で約70メートル」「50歩で約35メートル」のように、覚えやすい組み合わせだけ暗記しておくと、細かい計算をしなくても距離をイメージしやすくなります。
通勤や運動、おでかけで歩幅を使うと便利なシーン
歩幅と歩数を使う方法は、知っているだけでいろいろな場面で役立ちます。ここでは、通勤・通学、運動、おでかけの三つのシーンに分けて、使い方の例を紹介します。
まず、通勤や通学のときです。家から駅まで、学校までの距離を知っておくと、「今日はどのくらい歩いたかな」とふり返りやすくなります。ある日、通学路を歩きながら歩数を数え、「家から学校までで何歩だったか」をメモしておきます。その歩数に自分の歩幅をかければ、おおよその距離が分かります。
たとえば、自分の歩幅が60センチで、家から駅までが800歩だったとします。0.6メートル × 800歩なので、だいたい480メートル歩いたことになります。これを往復すると、だいたい1キロ弱歩いたというイメージが持てます。
つぎに、ウォーキングやランニングのときです。スマートウォッチやアプリを使わなくても、自分の歩幅が分かっていれば、走った距離をおおよそつかむことができます。公園をぐるぐる回るときなどに、「1周で何歩だったか」を数えておけば、その公園を何周したときに、だいたい何キロになるかが分かります。
ショッピングや旅行でも、歩幅は役に立ちます。大きなショッピングモールや観光地では、「かなり歩いた気がするけれど、どのくらい歩いたのだろう」と思うことがあります。そんなときに、おおよその歩数と自分の歩幅を覚えていれば、その日の歩行距離をざっくり知ることができます。
距離そのものをもっとくわしくイメージしたい場合は、特定の長さを身近な物でたとえている記事などもあわせて読むと理解が深まります。歩幅から計算した距離と、たとえでイメージした長さをくらべると、自分の中の距離感がだんだんとそろってきます。
歩幅だけでランニングの距離を管理してもいいですか？
歩幅だけでランニングの距離を考えることはできますが、あくまでおおよその目安です。走るスピードや体調によって歩幅が変わりやすいため、正確な距離を知りたいときは、専用の計測アプリやランニング用ウォッチなども活用したほうが安心です。歩幅で出した距離は、「だいたいこのくらい走った」という感覚をつかむための材料として使うとよいでしょう。
歩幅で測るときにずれやすい場面と気をつけたいこと
歩幅は、とても便利な「自分の物差し」ですが、いつでも同じとは限りません。場面によって歩き方が変わると、歩幅も変わり、距離の計算にずれが出やすくなります。ここでは、特に気をつけたい場面と、その理由を整理しておきます。
たとえば、坂道を歩くときは、上りと下りで歩幅が変わりやすいです。上り坂では一歩一歩が小さくなりやすく、下り坂では逆に少し大きくなることがあります。また、階段では段の高さが決まっているため、平らな場所とはまったく歩幅の感覚が変わってしまいます。
人が多い場所でも、歩幅は変わりやすいです。駅の中や人ごみの中では、まわりの人をよけながら歩くことが多くなります。立ち止まったり、歩く速さを変えたりするので、ふだんの歩幅とはちがう動きになってしまいます。
靴や荷物も、歩幅に影響します。重い荷物を持っているときは、体のバランスをとるために歩幅が小さくなりやすいです。逆に、軽い運動靴で気分よく歩いているときは、自然と歩幅が少し大きくなることがあります。
こうした違いをまとめると、次のようになります。
| 場面 | 歩幅が変わる理由 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 坂道 | 上り下りで足の出し方が変わる | 平らな道より距離が短めや長めに出ることがある |
| 階段 | 段の高さが決まっている | 歩幅としては考えず、段数で考えるほうがよい |
| 人ごみ | 立ち止まりや方向転換が多い | 歩数だけでは距離を出しにくい |
| 重い荷物を持つとき | バランスをとろうとして歩き方が変わる | ふだんより歩幅が小さくなりやすい |
このように、歩幅で距離を出すときには、「いつもの歩き方に近いかどうか」を意識することが大切です。特に、正しい距離が大事になる場面では、歩幅に頼りすぎないようにしましょう。必要に応じて、メジャーや地図、専用アプリなども組み合わせて使うと安心です。
歩幅で測った距離は、どのくらいまで信用してよいですか？
歩幅で出した距離は、「だいたいこのくらい」と考える目安の数字として使うのがよいです。平らな道をふつうに歩いた場合でも、実際の距離と少しずれることがあります。そのため、正確な数値が必要な場面では、歩幅だけに頼らず、専用の測定器具や地図などをあわせて使うようにしましょう。
子どもと楽しむ歩幅ゲームと学びのアイデア
歩幅は、子どもと一緒に学んだり遊んだりするのにもピッタリのテーマです。ゲームのように楽しみながら、長さの感覚や計算に親しむことができます。ここでは、家庭や学校で試しやすいアイデアをいくつか紹介します。
一つ目は、「何歩で何メートルゲーム」です。あらかじめ、ある程度の距離を決めておき、その距離を何歩で歩けるかをみんなで予想します。そのあと実際に歩いてみて、予想に近かったかどうかをくらべます。歩幅がちがうと歩数も変わるので、友だちや家族との違いを知るきっかけにもなります。
二つ目は、「歩数あてクイズ」です。親や先生が、あらかじめ決めた歩数だけ歩いてみせます。そのあとで、「今の歩数でだいたい何メートルだったでしょう？」と子どもに考えてもらいます。自分の歩幅をもとに計算してもよいですし、ざっくりとした感覚で答えてもかまいません。
三つ目は、「〇メートルに近づけるチャレンジ」です。たとえば、「今から10メートルを目指して歩いてみよう」と伝え、歩数を数えながら歩いてもらいます。ゴールの地点に印をつけておき、実際の距離をメジャーなどで測って、どのくらい近づけたかを確認します。ゲーム感覚でチャレンジをくり返すうちに、自然と距離感が身についていきます。
遊ぶときは、安全にも気を配りましょう。車が通らない場所を選ぶ、まわりにぶつかるものがないかを確認するなど、事前に環境を整えることが大切です。特に小さな子どもとは、走らずゆっくり歩くこと、友だちを押さないことなどを約束してから始めると安心です。
小さな子どもでも歩幅を使った遊びはできますか？
小さな子どもでも、簡単なルールにすれば歩幅を使った遊びを楽しめます。難しい計算は大人がフォローし、子どもには「何歩でゴールに着くかな？」といったゲームに集中してもらうとよいでしょう。安全な場所を選び、短い距離から始めることがポイントです。
自分の歩幅を「マイ物差し」にして距離感をみがこう
ここまで、歩幅の目安、自分の歩幅の測り方、歩数との組み合わせによる距離の出し方、そして生活の中での活用や注意点を紹介してきました。歩幅は、人によってちがう「自分だけの物差し」です。
自分の歩幅を知っておくと、「今日はどのくらい歩いたかな」「あの場所までどれくらい距離があるかな」といったことを、自分の体の感覚で考えやすくなります。歩数計やスマートフォンがなくても、歩数と歩幅だけで、だいたいの距離をイメージできるようになります。
最初は、家の中や学校の廊下など、身近で安全な場所から試してみるとよいでしょう。短い距離で歩幅を測ってみて、少しずつ長い距離にも挑戦していくと、無理なく距離感をみがいていくことができます。
距離のイメージを深めたいときは、決まった長さを身近な物にたとえている記事なども合わせて読むと、理解がさらに進みます。自分の歩幅で計算した距離と、たとえでイメージした長さをくらべてみると、「数字」と「感覚」の両方から距離をとらえられるようになります。
決まった長さそのものをくわしく知りたいときは、20メートルってどのくらい？身近なものを使って高さや長さをわかりやすくイメージ！のような長さ解説の記事もあわせて読むと、距離感がよりつかみやすくなります。
これをきっかけに、自分の歩幅を「マイ物差し」として、日々の生活の中で少しずつ使ってみてください。買い物や散歩、旅行など、いろいろな場面で距離への意識が高まり、歩くこと自体も今より少し楽しく感じられるかもしれません。
最初に試すなら、どんな場面で歩幅を使うのがおすすめですか？
最初は、家の中や近所の公園など、危険が少なくて歩きやすい場所がおすすめです。たとえば、「玄関からリビングまで何歩か」「公園のベンチから入口まで何歩か」など、短い距離から始めるとよいでしょう。慣れてきたら、通学路や通勤路など、いつも歩いている道でも試してみてください。
