忙しい日にうれしい「かんたんけんちん汁」の考え方
忙しい日でも、あたたかい汁物が一品あると、ほっとします。ただ、だしを一から取ろうとすると時間も手間もかかり、ハードルが高いと感じる人も多いと思います。
そこでこの記事では、だしパックや顆粒だしを使って、短い時間でけんちん汁を作る考え方をまとめます。市販のだしを上手に使えば、毎日ぜんぶ手作りしなくても、家庭の味を楽しむことができます。
まず、「本格だし」と「市販だし」の違いは、香りの細かさや、好みに合わせて調整しやすいかどうかといった部分にあります。本格だしをとると、だしを取る時間や鍋を洗う手間が増えます。そのかわり、材料を選んだり、水の量を変えたりして、自分好みの味に近づけやすくなります。
一方、だしパックや顆粒だしは、すでに味がととのえてあるので、手順がとても簡単です。袋ごと入れるだけ、さっと溶かすだけで、毎回同じような味になりやすいのが大きなメリットです。袋を捨てれば後片付けも楽で、忙しい日にはとても頼れる存在です。
「市販だしを使うのは手抜きではないか」と気にする人もいますが、家で料理をすること自体に、すでに大きな意味があります。時間と体力には限りがあるので、「どこに手間をかけるか」を選ぶことが大切です。だしは市販のものに頼り、その分、具材を多めに入れたり、家族の好みに合わせて味を少し変えたりするのも一つのやり方です。
この記事では、次のような流れで話を進めます。
- だしパックと顆粒だしで作るときの基本の流れ
- だしパックで作るけんちん汁のレシピ
- 顆粒だしで作る鍋ひとつの時短レシピ
- カット野菜や冷凍食材を使ったさらに楽な方法
- 作り置きや保存のときに意識したいポイント
読み終わるころには、自分の生活リズムに合わせて「今日はどの作り方にしようか」と選べるようになることを目指しています。全部を完璧に覚える必要はありません。まずは気になった部分から、少しずつ試してみてください。
だしパックや顆粒だしを使うのは手抜きになりませんか？
市販のだしを使うことは、手抜きとは言い切れません。自分や家族の生活リズムに合わせて、どこに時間と手間をかけるかを決める一つの方法です。
だしを一から取るかわりに、具材を多めに入れたり、季節の野菜を選んだりすることも、立派な工夫です。また、同じ顆粒だしでも、水の量を少し変えるだけで味わいは変わります。少しずつ自分好みの味を探していけば、「市販だしでも、うちの味」と感じられるようになっていきます。
だしパック・顆粒だしで作る基本の流れと、向いている人のちがい
ここでは、だしパックと顆粒だしを使ってけんちん汁を作るときの、全体の流れを紹介します。どちらのだしを使う場合も、作り方の大きな流れは同じです。
けんちん汁の基本の流れは、次のようになります。
- 具材を切る
- 必要なら下ゆでをする
- 鍋で具材を炒める
- 水とだしを加えて煮る
- 調味料を入れて味をととのえる
具材の切り方については、火の通りやすさをそろえることが大切です。大根やにんじんなどの根菜は、あまり厚くしすぎないように注意します。厚さをそろえることで、同じ時間でやわらかくなりやすくなります。ごぼうは、ささがきか薄い輪切りにすると、火が通りやすく、食べやすくなります。
火加減は、炒めるときは中火を目安にし、焦げつきそうなら弱火にします。煮るときは、一度しっかり沸騰させてから、弱めの火にしてコトコト煮ると、具材に味が入りやすくなります。
ここからは、だしパックと顆粒だしのざっくりした違いと、向いている人のイメージを、表にしてまとめます。
| だしの種類 | 味のイメージ | 手間 | 片付けやすさ | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| だしパック | 比較的すっきりした味になりやすい | 少し時間がかかるが難しくない | パックを取り出して捨てるだけ | 煮出す時間はとれるが、だし取りは簡単にしたい人 |
| 顆粒だし | はっきりした味になりやすい | 溶かすだけでとても簡単 | 計量スプーンを洗う程度 | とにかく短時間で仕上げたい人 |
だしパックは、水から入れて少し煮出す時間が必要ですが、そのぶん香りが出やすく、袋を取り出してしまえば、鍋の中はすっきりします。顆粒だしは、あとからでもさっと溶かせるので、味見をしながら足すのにも向いています。
どちらを選ぶか迷うときは、「今日は何分くらい料理に使えそうか」「洗い物はどのくらい増えても大丈夫か」を目安にすると決めやすくなります。
だしの量はパッケージどおりに入れても大丈夫？
だしの量は、まずはパッケージに書いてある目安を参考にするのがおすすめです。その上で、味見をしながら少しずつ調整すると、自分や家族の好みに近づけやすくなります。
味が少し物足りないと感じたときは、いきなりたくさん増やさず、少しずつ足していきます。逆に、濃くなりすぎたときは、水を少し足して味をならします。どちらの場合も、一度に大きく変えないことがポイントです。
だしパックで作るけんちん汁レシピ（基本の作り方）
ここからは、だしパックを使ったけんちん汁の作り方を、具体的に紹介します。分量は目安なので、家族の人数や鍋の大きさに合わせて調整してみてください。
ここでは、だいたい2〜3人分を想定した分量で説明します。
【材料の目安】
- 大根、にんじん、里いもなどの根菜 合わせて300〜350グラムほど
- ごぼう 少量
- こんにゃく 1/2枚
- 木綿豆腐 1/2丁
- 長ねぎ 1/2本
- だしパック 1袋（表示に合わせて）
- 水 600〜700ミリリットルほど
- 油 少量
- しょうゆ、みりん、酒などの調味料
具材の切り方のポイントは、火の通りやすさをそろえることです。大根やにんじんは、厚さ5ミリくらいのいちょう切りか半月切りにすると、ほどよく火が通ります。里いもは皮をむき、一口大に切って、ぬめりが気になるときは、さっと下ゆでしておきます。ごぼうはよく洗ってささがきにし、水に少しひたしておきます。
作り方の流れは、次のようになります。
- 鍋に油をひき、根菜とこんにゃくを入れて、中火で炒める
- 全体に油がまわったら、水とだしパックを入れる
- 煮立ってきたらアクを取り、弱めの火にして数分煮出す
- だしパックを取り出し、豆腐や長ねぎを入れる
- しょうゆ、みりん、酒などで味をととのえる
だしパックを入れて煮出す時間は、パッケージの表示を目安にします。多くの場合、数分から十数分ほどのことが多いです。時間が書いていない場合は、沸騰してから弱火で数分ほど煮て、香りが出てきたら取り出すようにします。
味付けをするときは、最初から調味料を入れすぎないように注意します。まずはしょうゆやみりんを少なめに入れて、少し煮てから味見をします。それでも物足りなければ、少しずつ足していきます。このように少しずつ重ねていくと、味が濃くなりすぎる失敗を減らせます。
もし味のととのえ方を、もっと詳しく知りたくなったときは、けんちん汁の味の調整に特化した別の記事なども参考にすると、理解が深まりやすくなります。
だしパックはどれくらい煮出して、いつ取り出せばいい？
だしパックは、沸騰してから弱火で数分ほど煮出すのが目安です。長く煮過ぎると、だしの種類によっては、風味が変わったり、えぐみを感じやすくなったりすることがあります。
パッケージに目安時間が書いてある場合は、その時間を基本にして、香りを確認しながら取り出します。時間の表示がない場合は、沸騰後に弱火で数分煮て、香りが立ったところで取り出すと、失敗が少なくなります。
顆粒だしで作るけんちん汁レシピ（鍋ひとつの時短バージョン）
次に、顆粒だしを使った、鍋ひとつでできるけんちん汁の作り方を紹介します。だしパックのように煮出す時間がいらないので、さらに短い時間で仕上げたい日に向いています。
ここでも、2〜3人分を想定した分量で説明します。
【材料の目安】
- 大根、にんじん、里いもなどの根菜 合わせて300〜350グラムほど
- ごぼう 少量
- こんにゃく 1/2枚
- 木綿豆腐 1/2丁
- 長ねぎ 1/2本
- 顆粒だし 適量（パッケージの表示を参考に）
- 水 600〜700ミリリットルほど
- 油 少量
- しょうゆ、みりん、酒などの調味料
基本の具材は、だしパックのときとほとんど同じです。違いは、だしを入れるタイミングと溶かし方です。顆粒だしは、先に熱いお湯に溶かしてから鍋に入れてもよいですし、鍋の中で溶かしてもかまいません。
作り方の流れは、次のようになります。
- 鍋に油をひき、根菜とこんにゃくを入れて中火で炒める
- 全体に油がまわったら、水を入れて煮立てる
- アクを取り、弱めの火にして具材がやわらかくなるまで煮る
- 顆粒だしを入れて、よく溶かす
- 豆腐や長ねぎを入れ、しょうゆやみりんで味をととのえる
顆粒だしを鍋に直接入れる場合は、だまにならないよう、いったん火を弱めてから入れると安心です。入れたあとは、底からしっかり混ぜて、溶け残りがないか確認しましょう。
時間をさらに短くしたい場合は、根菜を電子レンジで少しだけ加熱してから鍋に入れる方法もあります。耐熱容器に切った根菜を入れ、少量の水をふってラップをし、短い時間で下ごしらえをしておけば、鍋で煮る時間がやや短くなります。
顆粒だしは味がはっきりしやすいので、入れすぎると塩分が強く感じられることがあります。少し控えめに入れて味見をし、足りないときに追加するようにすると、好みの味に近づけやすくなります。
顆粒だしは直接鍋にふりかけてもいい？
顆粒だしを直接鍋の中にふりかけても、問題はありません。ただし、溶け残りを防ぐために、いったん火を弱めてから入れ、よく混ぜることが大切です。
先に少量の熱いお湯で溶かしてから鍋に入れる方法もあります。このやり方だと、だまになりにくく、味も全体に広がりやすくなります。時間に余裕があるときは、溶かしてから入れる方法も試してみてください。
もっと時間を節約する下ごしらえアイデア（カット野菜・冷凍食材の使い方）
包丁を使う時間を減らしたいときは、カット野菜や冷凍野菜を上手に取り入れると、準備がぐっと楽になります。ここでは、買ってきた食材や、あらかじめ用意しておいたストックを使って、下ごしらえを短くするアイデアを紹介します。
市販のカット野菜を使う場合は、「煮物用」「炒め物用」などと書かれたミックスを選ぶと、けんちん汁にも使いやすい大きさになっていることが多いです。そのままでは大きすぎると感じたときは、必要な分だけ包丁で少し切り直せば十分です。
冷凍野菜や冷凍きのこミックスを使うときは、凍ったまま鍋に入れてしまってよい商品も多いです。ただし、パッケージに使い方が書いてある場合は、その説明を参考にすると安心です。水分が出やすい野菜の場合は、少し汁気が増えることがあるので、様子を見ながら水の量を調整します。
週末や時間のある日に、根菜をまとめて切っておき、小分けにして冷凍しておくのも便利です。大根やにんじんは、いちょう切りや半月切りにして冷凍しておけば、平日は袋から出して鍋に入れるだけで済みます。冷凍すると食感が少し変わることもありますが、汁物に入れる分には、あまり気にならないことも多いです。
味や食感の違いが気になるときは、具材の種類を少し変えてみるのも一つの方法です。例えば、冷凍の大根が気になる場合は、その分をじゃがいもに変えてみるなど、家族の好みに合わせて試してみてください。
カット野菜や冷凍野菜を使うと味は落ちる？
カット野菜や冷凍野菜を使うと、切りたての野菜と比べて、香りや食感が少し違うと感じることはあります。ただ、その違いが気にならない人も多く、忙しい日の負担を減らすという意味では、大きな助けになります。
味の違いが気になる場合は、仕上げに長ねぎを少し多めに入れたり、ごまをふったりして香りを足してみると、全体の印象が変わります。自分の中で「ここまでは許容できる」というバランスを見つけながら、無理のない使い方を探していくとよいでしょう。
作り置きと保存で忙しい日をラクにするコツ
けんちん汁は、作り置きしておくと、翌日以降の食事の準備がぐっと楽になります。ただし、長く置きすぎたり、保存方法をあまり気にしなかったりすると、味や状態が変わってしまうこともあります。ここでは、一般的な考え方の範囲で、作り置きと保存のポイントを整理します。
まず、作ったけんちん汁は、粗熱が取れたら保存容器に移し、冷蔵庫に入れます。鍋ごと冷蔵庫に入れる場合は、他の食品に影響が出ないように注意しながら、庫内のスペースをよく確認します。清潔な容器やおたまを使うことも大切です。
保存の目安を、ざっくり表にすると次のようになります。
| 保存方法 | 目安の日数 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 鍋のまま冷蔵 | 早めに食べ切る | こまめに火を通すときは、よく温めてから冷ます |
| 保存容器に入れて冷蔵 | 数日以内を目安にする | よく冷ましてからふたをし、冷蔵庫に入れる |
| 小分けにして冷凍 | もう少し長めに保存しやすい | 解凍後は再冷凍せず、早めに食べ切る |
温め直すときは、しっかり中まで温かくなるように加熱します。何度も温め直すと、具材がくずれやすくなったり、味が変わってきたりします。たくさん作ったときは、食べる分だけ小鍋に移して温めるなど、工夫してみてください。
保存袋で小分け冷凍するときは、ジップロックの空気を抜くコツをまとめたジップロックの空気を抜くコツの記事もあわせて読むとイメージしやすくなります。
作り置きしたけんちん汁に、うどんやご飯を足してアレンジすると、別の一品のように楽しむことができます。例えば、翌日はうどんを入れて汁うどんにし、さらに翌日はご飯を入れて雑炊風にするなど、少し変化をつけると飽きにくくなります。
見た目やにおいに違和感があるときや、少しでも不安を感じたときは、無理に食べようとせず、安全を優先して判断してください。保存の考え方が心配なときは、公的機関などの情報も参考にしながら、自分なりの目安を決めておくと安心です。
食品を長持ちさせる基本の考え方はお菓子にも通じます。湿気をおさえる工夫を知りたいときは、お菓子を長持ちさせる保存アイデアも参考になります。
作り置きのけんちん汁は何日くらいで食べ切るのが目安？
作り置きのけんちん汁を食べ切るまでの日数は、保存する環境やご家庭の冷蔵庫の使い方によっても変わります。一般的には、冷蔵保存の場合は、あまり日をあけずに早めに食べ切ることが多いです。
いつまでなら大丈夫か迷うときは、見た目やにおい、味に違和感がないかをよく確認し、少しでも不安がある場合は無理をしないようにしてください。食品の保存について不安がある場合は、公的な情報もあわせて確認しながら、各家庭で安全面を優先して判断することが大切です。
まとめ：自分のペースで続けやすいけんちん汁の楽しみ方
ここまで、だしパックや顆粒だしを使って、忙しい日でも作りやすいけんちん汁の作り方を見てきました。大切なのは、完璧なレシピを守ることではなく、自分の生活リズムに合ったやり方を見つけることです。
だしパックは、少し煮出す時間が必要ですが、袋を入れておくだけでだしが出てくるのが魅力です。顆粒だしは、溶かすだけで味がととのいやすく、特に時間がない日に助かります。どちらも、まずはパッケージの表示を目安にしつつ、味見をしながら少しずつ自分好みに近づけていくと、安心して使えるようになっていきます。
また、カット野菜や冷凍野菜を使えば、包丁を使う時間を大きく減らせます。週末に少しだけ根菜を切って冷凍しておくだけでも、平日がぐっと楽になります。作り置きや保存のポイントを押さえれば、「今日は温め直すだけ」という日を作ることもできます。
最初の一歩としては、次のような選び方をしてみると悩みにくくなります。
- とにかく短時間で作りたい日には、顆粒だしを使う
- 少し余裕がある日は、だしパックを使って香りを楽しむ
- 包丁をあまり使いたくない日は、カット野菜や冷凍野菜を取り入れる
一つの方法に決めてしまう必要はありません。その日の予定や体調に合わせて、「今日はこれでやってみよう」と気楽に選んでみてください。何度か作っていくうちに、自分なりの定番の作り方が自然と決まっていきます。
最初に試すなら、どの作り方を選べばいい？
最初に試す作り方は、「今の自分の余裕」に合わせて決めると失敗が少なくなります。とにかく時間がないときは、顆粒だしを使った鍋ひとつの作り方から始めると、短い時間で達成感を得やすいです。
少し時間に余裕がある日には、だしパックを使った作り方にチャレンジしてみると、煮出す時間も含めて料理の時間を楽しみやすくなります。どちらのレシピも一度に覚える必要はないので、その日の状況に合わせて少しずつ試し、自分や家族にとって続けやすいスタイルを見つけていきましょう。
