畳数ってなに?まずは「○畳」の基本を知ろう
畳数の意味と「畳」と「帖」のちがい
部屋の広さを表すときに、六畳や八畳といった言い方をよく見かけます。これは、その部屋の床が畳何枚ぶんかを目安にした表現です。日本の住宅では昔から畳がよく使われてきたため、畳一枚ぶんの広さが、部屋の広さを伝えるための単位になりました。
「畳」と「帖」は、ふだんの生活ではほぼ同じ意味で使われます。不動産サイトなどでは、六畳を六帖と書くこともあります。部屋探しのときは、畳と帖は同じものだと思って大丈夫です。
ただし、実際の畳の大きさは地域などによって少しちがいます。関東の住宅でよく使われる畳は、関西の畳より少し小さいことが多いです。そのため同じ六畳でも、使える広さが少し変わる場合があります。この記事では、畳数はあくまで「おおよその目安」として考えていきます。
畳数と平方メートルの関係
物件情報を見ると、「六畳」だけでなく「〇〇平方メートル」という表記もいっしょに書かれています。平方メートルは世界共通の面積の単位で、畳数とは別の表し方です。
畳一枚ぶんの広さは、使われている畳の種類によって少しずつちがいます。そのため、畳数から平方メートルに正確に変換することはむずかしいです。ただ、一般的な目安としては、一畳はだいたい一・五〜一・七平方メートルぐらいと考えられることが多いです。
たとえば、一人暮らしで人気の六畳の部屋なら、ざっくり九〜十平方メートル前後のイメージになります。正確な数字は物件によってちがうので、気になるときは物件情報に書かれている平方メートルの数字もいっしょに確認するとよいでしょう。
畳数がわかると何がうれしい?
畳数がわかると、部屋探しのときや、今の部屋に家具を置くときに役立ちます。たとえば、「六畳ならシングルベッドと小さなテーブルは置けそうだな」といったイメージがしやすくなります。
また、引っ越し先を決めるときに「今の部屋より少し広くしたい」「もう少しコンパクトでよい」と考えることがあります。そのときに、自分の部屋が何畳くらいなのかを知っておくと、新しい物件を選びやすくなります。
畳数だけで部屋のすべてが決まるわけではありませんが、広さの感覚をつかむ入口として、とても分かりやすい指標です。
畳数はどうやって計算されているの?
畳数は、本来は部屋の床の広さから計算されます。たとえば、縦と横の長さをメートルで測り、その二つをかけ算すると、その部屋のおおよその平方メートルが分かります。その面積を、畳一枚ぶんの広さで割ると、何畳ぶんかのおおよその数字が出ます。
ただし、実際の物件情報では、畳数はかなりおおざっぱな目安として使われています。実際に測った数字から、分かりやすい数に丸めて表示していることも多いです。そのため、「六畳と書いてあるけれど、少し広く感じる」「思ったより狭く感じる」といったことも起こります。
畳数はあくまで目安の数字だと理解しておくと、物件情報とのちがいにもおどろきにくくなります。
長さそのもののイメージをつかみたいときは、二十メートルを身近な物でたとえた解説もあわせて読むと、数字と感覚を結びつけやすくなります。
畳数だけでは分からない「実際に使える広さ」とは?
畳数の数字だけではわからないこと
六畳の部屋と聞くと、どの部屋も同じぐらいの広さだと感じるかもしれません。しかし、畳数が同じでも、実際に暮らしてみると「広く感じる部屋」と「狭く感じる部屋」があります。
その理由のひとつは、柱や出っ張り、収納スペース、キッチンの位置など、畳数に含まれているけれど、実際には物を置けない部分があることです。同じ六畳でも、大きな収納がある部屋と、収納がほとんどない部屋では、物を置ける床の面積が変わってきます。
また、キッチンが同じ空間にあるワンルームでは、キッチンまわりのスペースも同じ六畳の中に含まれます。ベッドやテーブルを置ける部分は、実際にはもう少し小さくなることが多いです。
通路やドアの開き方も広さに影響する
実際に使える広さを考えるときは、家具が置ける面積だけでなく、人が歩く道も大事です。部屋の入り口からベッドやテーブルまで、スムーズに歩けるかどうかで、体感の広さは大きく変わります。
たとえば、ベッドを壁ぎわに置いたときに、反対側の通路がとても狭くなってしまうと、歩きにくく感じます。通路の幅が人一人分より少し広いくらいあると、ゆとりを感じやすくなります。
ドアの開き方もポイントです。開き戸の前には、ドアが開くためのスペースが必要です。この部分には家具を置けません。クローゼットの扉や引き出しの前も、開け閉めするための空間が必要です。畳数にはこのような部分も含まれているため、数字より狭く感じることがあります。
収納スペースの量で体感の広さが変わる
収納スペースがしっかりある部屋は、床に物を置かずにすむため、実際の畳数以上に広く感じることがあります。たとえば、大きなクローゼットや押し入れがあれば、衣類や荷物をしまいやすくなります。
一方で、収納が少ない部屋では、洋服ラックや収納ケースを床に置く必要が出てきます。その分、歩けるスペースや家具を置ける余地が少なくなり、狭く感じてしまいます。
畳数だけでなく、収納の位置や大きさもいっしょに確認すると、暮らしやすさのイメージがつかみやすくなります。
6畳なのに狭く感じるのはなぜ?
六畳と書いてあるのに狭く感じる場合は、キッチンや廊下のように、生活に必要だけれど家具を置けない場所が六畳の中に多く含まれていることが考えられます。また、収納が少ないために床に物を置かざるをえず、実際に動けるスペースが減っている可能性もあります。
部屋の形がいびつだったり、柱の出っ張りが多かったりすると、家具をぴったり置けないこともあります。間取り図と実際の部屋を見比べながら、「どこに物を置けるのか」「どこが通路になるのか」を考えてみると、狭く感じる理由が見えてきます。
4.5畳・6畳・8畳・10畳…代表的な広さと置ける家具の目安
よくある畳数ごとのイメージ
部屋の広さを考えるとき、「四・五畳」「六畳」「八畳」「十畳」といった畳数が、よく目に入ります。ここでは、それぞれの畳数について、どのような使い方が想像しやすいかを見ていきます。
四・五畳の部屋は、かなりコンパクトな広さです。ここにベッドを置くと、それだけで多くのスペースを使います。ベッドのほかに小さなテーブルや棚を置くことはできますが、通路は細くなりがちです。寝ることが中心のスペースとして使うイメージになります。
六畳の部屋は、一人暮らしでよく見かける広さです。シングルベッドと小さめのテーブル、テレビ台などを置いても、最低限の通路を確保できることが多いです。ただし、大きめのソファやダブルベッドを置くと、通路がせまくなり、生活しづらく感じる場合があります。
八畳の部屋になると、ベッドに加えて二人が座れるソファや、少し大きめのテーブルを置くことも考えやすくなります。家具の配置にゆとりが出て、レイアウトの選択肢が増えます。テレビとテーブルの距離もとりやすく、くつろぎスペースを作りやすい広さです。
十畳の部屋は、一人暮らしならかなり余裕のある広さになります。ベッドとソファ、テーブルを置いても、まだスペースにゆとりが残ることが多いです。二人暮らしでも、家具の量を工夫すればリビング的な使い方ができます。
畳数と置ける家具の組み合わせ例
畳数ごとに、どのような家具の組み合わせが考えられるかを、目安として表にまとめてみます。
| 畳数の目安 | 置ける主な家具の例 | 向いている使い方のイメージ |
|---|---|---|
| 四・五畳 | シングルベッド、小さなサイドテーブル | 寝ることが中心のスペース、物は少なめ |
| 六畳 | シングルベッド、小さめのテーブル、テレビ台 | 一人暮らしの基本的な生活に向く広さ |
| 八畳 | ベッド、二人掛けソファ、中くらいのテーブル | くつろぎスペースを作りやすい、一人暮らしや二人暮らし向け |
| 十畳 | ベッド、ソファ、テーブル、収納家具をいくつか | ゆとりを持って家具を置きたい一人暮らし、コンパクトな二人暮らし |
これはあくまで一例であり、家具のサイズや形によって印象は大きく変わります。ただ、このような目安を持っておくと、物件情報を見たときに、「自分の持ち物が収まりそうかどうか」を想像しやすくなります。
自分の持ち物から逆算して考える
畳数の目安だけでなく、自分が持っている家具やこれから買いたい物から考える方法もあります。すでにベッドやソファを持っている場合は、その大きさを測り、どのくらいのスペースを使っているかを知っておくと便利です。
たとえば、「ベッドとデスクは必ず置きたい」「ソファはあきらめてもよい」といった、優先順位をはっきりさせることも大切です。すべての家具を無理に置こうとすると、通路がせまくなり、畳数のわりに狭く感じてしまうことがあります。
手持ちの家具が少ない場合でも、「ベッド中心の生活にしたいのか」「床に座るスタイルにしたいのか」を考えておくと、必要な畳数のイメージがつかみやすくなります。
一人暮らしに多い畳数の目安は?
一人暮らしの部屋では、六畳前後の広さが選ばれることが多いです。ベッドとテーブル、収納を最低限置けるため、コンパクトながら生活しやすいバランスと言えます。
一方で、仕事や趣味で机を広く使いたい人や、ソファでゆっくりくつろぎたい人は、八畳以上あるとゆとりを感じやすくなります。自分がどのような時間を部屋で多く過ごすのかを考えながら、必要な畳数を考えてみるとよいでしょう。
一人暮らし・二人暮らし・家族でちょうどいい広さの考え方
人数とライフスタイルで変わる「ちょうどよさ」
「ちょうどよい広さ」は、人によって感じ方が大きくちがいます。必要な畳数は、人数だけでなく、ふだんどのような過ごし方をしているかによっても変わってきます。
たとえば、家では寝るだけで、ほとんどの時間を外で過ごす人にとっては、コンパクトな部屋でも不便を感じにくいかもしれません。一方で、在宅勤務が多い人や、家で趣味を楽しみたい人にとっては、机や収納のスペースがしっかり取れる広さが必要になります。
また、料理をよくする人は、キッチンの広さや作業スペースも気になります。リビングの畳数だけでなく、キッチンまわりや収納の量もふくめて考えることが大切です。
一人暮らしの場合の広さの目安
一人暮らしでは、ワンルームや一Kの六畳前後がよく選ばれています。寝るスペースと、ちょっとしたくつろぎスペースを両立させやすい広さです。
ただし、在宅勤務が多い人や、趣味の道具が多い人は、八畳以上や、もうひと部屋ある間取りを検討することもあります。パソコン作業用のデスクや、本棚、趣味の道具を置くスペースを考えると、六畳では足りないと感じる場合があるためです。
また、収納が多い物件であれば、床に物を置かずにすみ、六畳でも広く感じられることがあります。畳数だけでなく、収納の有無や広さもチェックしておきましょう。
二人暮らしの場合の広さの考え方
二人暮らしでは、ワンルームや一Kでも暮らすことはできますが、生活リズムによっては窮屈に感じることがあります。たとえば、どちらか一方が早く寝る場合、同じスペースにベッドとくつろぎスペースがまとまっていると、お互いに気をつかう場面が増えるかもしれません。
二人暮らしでは、リビングとして八〜十畳前後のスペースがあると、ソファやテーブルを置きつつ、それぞれがくつろげる場所を作りやすくなります。ベッドを置く寝室とは分ける間取りにすると、生活リズムがちがう場合でも過ごしやすくなります。
また、二人分の荷物があるため、収納スペースは一人暮らしのときよりも重要になります。クローゼットの大きさや、追加の収納家具を置けるスペースがあるかを確認しておくと安心です。
家族暮らしでのリビングの広さの目安
家族で暮らす場合は、リビングダイニングの広さが生活のしやすさに大きく影響します。食事をするテーブルと、くつろぐソファスペースの両方を置くには、ある程度の畳数が必要です。
たとえば、四人家族の場合、十畳程度のリビングダイニングでは、テーブルとソファを置くと通路がせまく感じることがあります。十二畳以上あると、動きやすさに少し余裕が出てきます。子どもがいる家庭では、遊ぶスペースも必要になるため、さらに広さが欲しくなることもあります。
ただし、実際に必要な広さは、家族の人数だけでなく、部屋の形や収納、ほかの部屋とのバランスによっても変わります。リビングの畳数だけで判断せず、家全体の間取りを見ながら考えることが大切です。
二人暮らしで1K・1Rはきびしい?
二人暮らしで一Kやワンルームに住むことは不可能ではありませんが、生活スタイルによっては窮屈に感じやすくなります。寝る場所とくつろぐ場所、食事をする場所がすべて同じ空間にまとまるため、お互いに気をつかう場面が増えることがあります。
たとえば、どちらかが在宅勤務でパソコン作業をしているあいだ、もう一人がくつろぎにくいと感じるかもしれません。来客が多い場合も、スペースが限られてしまいます。
そのため、二人暮らしでは、できれば一LDK以上の間取りや、リビング部分が広めの部屋を選ぶ人が多いです。ただし、家賃とのバランスもあるため、自分たちの暮らし方にとって、どこまでの窮屈さなら許容できるかを話し合っておくとよいでしょう。
間取り図を見るときのチェックポイントと内見のコツ
間取り図で見ておきたいポイント
不動産サイトやチラシには、部屋の畳数だけでなく、間取り図もいっしょに載っています。間取り図には、部屋の形やドアの位置、収納など、暮らしやすさに関わる情報がたくさんつまっています。
まず確認したいのは、部屋の形です。正方形に近い形や、長方形でも細すぎない形の部屋は、家具を置きやすいことが多いです。角が多かったり、細長すぎたりする部屋は、畳数のわりに家具を配置しにくい場合があります。
次に、ドアや窓、収納の位置を確認します。開き戸が多いと、その前には物を置けません。引き戸は比較的スペースを有効に使いやすいですが、開けたときに他の家具とぶつからないかも考える必要があります。窓の位置も、ベッドや机の置き場所に影響します。
キッチンの位置も大切です。リビングと同じ空間にあるのか、少し離れているのかで、必要な畳数の感じ方が変わります。キッチンまわりにどのくらいの作業スペースがあるかも、間取り図からイメージしてみましょう。
内見で広さを確認するときのコツ
気になる物件が見つかったら、実際に部屋を見に行く内見が大切です。写真や間取り図だけでは分からない広さや雰囲気を、実際に体で感じることができます。
内見のときは、まず部屋の入口から一歩入ってみて、「狭い」「広い」といった第一印象を意識してみましょう。そのうえで、ベッドを置きたい場所、テーブルを置きたい場所を想像しながら、部屋の中を歩いてみます。歩きにくいと感じる場所があれば、そこは通路がせまくなる可能性がある部分です。
メジャーやスマートフォンの測定アプリを使って、気になる場所の長さを測るのもおすすめです。ベッドや家具のサイズが分かっていれば、実際に置いたときのイメージがつかみやすくなります。
また、窓からの光の入り方や、天井の高さも、部屋の広さの感じ方に影響します。数字には表れないポイントも、内見でしっかりチェックしておきましょう。
内見のときに広さで失敗しないコツは?
内見のときに広さで失敗しないためには、「数字だけで決めないこと」が大切です。畳数や平方メートルの数字はあくまで目安であり、実際の広さの感じ方は、部屋の形や天井の高さ、窓の位置などで大きく変わります。
事前に、自分の持っている家具のサイズや、最低限必要な通路の幅をメモしておくと安心です。内見のときにそのメモを見ながら確認すると、「思ったよりも狭かった」「家具が入らなかった」といったミスを減らせます。
気になる物件が複数ある場合は、内見のあとに印象を比較できるよう、写真やメモを残しておくとよいでしょう。
距離や高さの感覚をあらかじめつかんでおくと、内見でのギャップも減らせます。参考までに、二十メートルの長さを身近な物で説明した記事もチェックしてみてください。
同じ畳数でも広く感じる部屋づくりのアイデア
家具の配置で動きやすさを優先する
同じ畳数でも、家具の配置によって部屋の広さの感じ方は大きく変わります。通路がまっすぐ確保されていると、それだけで部屋がすっきりと見えます。
たとえば、ベッドやソファなど大きな家具は、できるだけ壁側に寄せて配置すると、中央部分に空間を作りやすくなります。部屋の真ん中に大きな家具を置くと、視線がさえぎられ、狭く感じてしまうことがあります。
また、通路をいくつも分けるよりも、「ここからここまでが歩く道」と決めて、その線上には物を置かないようにすると、動きやすさが保ちやすくなります。
背の低い家具や抜け感のある家具を選ぶ
家具の高さや形も、部屋の広さの印象に影響します。背の高い棚や、大きなタンスを部屋にいくつも置くと、視線がさえぎられて圧迫感が出やすくなります。
コンパクトな部屋では、腰くらいまでの高さの家具を中心に選ぶと、天井までの空間がよく見え、広く感じやすくなります。オープンラックのように、向こう側が少し見える家具も、抜け感が出て圧迫感をおさえるのに役立ちます。
テーブルを選ぶときも、天板がガラスのものや、脚のデザインがすっきりしたものは、床面がよく見えるため、空間の広がりを感じやすくなります。
色や照明で明るさと奥行きを出す
部屋の色づかいや照明の当て方も、広さの見え方を左右します。壁や床、カーテンなどの色を、白やベージュなどの明るめのトーンでそろえると、光を反射しやすくなり、部屋全体が明るく感じられます。
反対に、濃い色ばかりを使うと、落ち着いた雰囲気にはなりますが、実際の畳数よりも狭く感じることがあります。アクセントカラーはクッションや小物で取り入れ、広い面積をしめる部分はシンプルな色にしておくと、バランスが取りやすいです。
照明は、部屋の中央にある天井照明だけでなく、スタンドライトや間接照明を組み合わせると、奥行きが出て広く感じやすくなります。暗いすみを作らないように意識すると、視線が部屋の端まで届きやすくなります。
狭い部屋でもゆったり暮らすコツはある?
狭い部屋でも、配置や物の持ち方を工夫すれば、ゆったりと暮らすことはできます。まずは、「この部屋でどんな時間を大事にしたいか」を考え、その時間に必要な物を優先して残すことが大切です。
たとえば、寝る時間を大切にしたい人は、ベッドや寝具にゆとりを持たせ、ほかの物はコンパクトにまとめる方法があります。家での食事やお茶の時間を楽しみたい人は、テーブルまわりを充実させ、代わりに大型の収納家具を減らすといった工夫も考えられます。
物の数を減らし、収納の中におさめることで、床に物が散らかりにくくなり、同じ畳数でも広く感じやすくなります。
