1平方メートルってどのくらい?まずはかんたんにイメージしよう
「1平方メートル」と聞いて、すぐに広さを思い浮かべられる人は多くありません。数字としては分かっていても、実際の生活の中でどのくらいのスペースなのか、ぱっとイメージするのはむずかしいものです。
まずは、ことばの意味をやさしく整理してみましょう。
1平方メートルとは、「たて1メートル、よこ1メートルの四角い広さ」のことです。たてとよこが同じ長さの四角をイメージすると、タイルのような形を思い浮かべられるかもしれません。この四角1枚ぶんの広さが、1平方メートルです。
メートルは長さの単位ですが、平方メートルは広さの単位です。漢字で書くと「平方メートル」、数字では「1m²」や「1㎡」と書きます。この記事の中では、読みやすさを考えて「1㎡」という表記を中心に使っていきます。
ここで、少しだけ算数の話をします。広さは「たての長さ × よこの長さ」で考えます。1m×1mなら、1×1=1なので、広さは1㎡です。もし、たてが2mでよこが0.5mの場合でも、2×0.5=1なので、広さは同じ1㎡になります。
このように、1㎡だからといって、かならずしも正方形である必要はありません。たての長さとよこの長さをかけて、結果が1になれば、そのスペースは1㎡です。
ただし、日常生活の中でイメージしやすいのは、やはり「1m×1mの四角」です。メジャーなどで1mを測り、その長さどうしで四角を作ると、1㎡を目で確認できます。
面積という言葉は、この記事では「広さ」という言い方とあわせて使います。むずかしく考えず、「床や地面の広さ」をあらわす単位だと思っておけば十分です。
このほかにも、暮らしに役立つちいさな知識をまとめた記事があります。
1㎡ってどんな形でもいいの?
1㎡は、たてとよこの長さをかけ算して1になる広さのことです。正方形でなくても、長い長方形でも、L字型でも、全体を足した広さが1㎡なら同じ広さと考えられます。ただ、イメージしやすくするために、ふだんは「1m×1mの四角」として覚えておくと便利です。
1平方メートルを身近なものにたとえる(畳・マット・人の大きさ)
言葉で説明を聞いても、まだ広さの感覚がつかみにくいかもしれません。ここでは、家の中にある身近な物を使って、1㎡の広さをイメージしてみましょう。
まず、多くの人になじみがあるのが「畳」です。畳の大きさは地域や建物によって少しちがいますが、おおよそ1枚あたり1.5㎡前後と言われます。とてもざっくり言うと、「畳1枚より少しせまい広さ」が1㎡だと考えるとイメージしやすくなります。
玄関マットやお風呂マットも、1㎡の例として使いやすい物です。少し大きめのマットなら、たて80cmよこ80cmほどのサイズがあります。この場合、0.8m×0.8mなので広さは0.64㎡です。1㎡より少し小さいですが、「1㎡に近い広さ」としてイメージの助けになります。
テーブルの天板も、1㎡を想像するのに役立ちます。たとえば、たて100cmよこ60cmのテーブルなら、1m×0.6mなので0.6㎡です。もう少し大きなダイニングテーブルで、1.2m×0.8mなら0.96㎡と、1㎡にかなり近い広さになります。
人の体との関係で考えると、1㎡は「大人がゆったり1人立てる広さ」に近い感覚です。足もとに少し余裕があり、まわりに物がなければ、ごく自然に立っていられるくらいのスペースです。
子どもの場合は、1㎡あれば丸くなって寝転ぶこともできます。ただし、手足を大きく広げるほどの余裕はありません。小さなテントの中で体を丸めて寝るようなイメージに近いでしょう。
また、1㎡の広さに、どれくらいの物が置けるかを考えるのも役に立ちます。たとえば、靴箱を1つと小さなチェアを1脚置くと、それだけでかなりスペースを使います。1㎡は思っているよりも狭い、と感じる人が多いかもしれません。
1㎡は何畳くらいと考えればいい?
畳の大きさにはいくつか種類がありますが、ふつうの住宅で使われる畳1枚は、おおよそ1.5㎡前後です。とてもおおざっぱに言うと、「1㎡=畳の3分の2くらい」と考えるとよいでしょう。正確な計算をする必要はなく、「1㎡は畳1枚より少し小さい」くらいの感覚を持っておけば、間取り図を見るときの役に立ちます。
間取り図の「○○㎡」を暮らしのイメージに変えるコツ
部屋探しをするとき、不動産サイトやチラシには「専有面積○○㎡」という数字が必ず書かれています。しかし、数字だけを見ても、どんな暮らしができるのかは想像しにくいものです。ここでは、その数字をどのように読みとればよいか、かんたんに整理してみます。
まず、専有面積とは、自分が実際に使える床の広さを表す数字です。マンションなどでは、共有の廊下や階段などはふくまれません。部屋の中のどの部分がふくまれるかは物件によって違うこともありますが、基本的には「自分の生活スペースの広さ」と考えてかまいません。
次に、間取りの表記を見てみましょう。1Kは「キッチンと部屋が分かれているが、リビングほど大きな部屋ではない」タイプです。1DKは「ダイニングキッチンと1部屋」、1LDKは「リビングダイニングキッチンと1部屋」というイメージです。
たとえば、一人暮らし向けの1Kの場合、20㎡前後の物件がよく見られます。このくらいの広さだと、ベッドと小さなテーブル、収納を置くと、動き回るスペースはかぎられてきます。「寝る・くつろぐ・最低限の収納」が中心の部屋だと考えるとイメージしやすいでしょう。
25㎡前後になると、同じ1Kでも少しゆとりが出ます。ベッドのサイズを少し大きくしたり、小さなソファを置いたりしやすくなります。それでも、物を増やしすぎると狭く感じることには変わりありません。
1DKや1LDKになると、専有面積は30㎡以上になることが多いです。キッチンと食事スペース、くつろぐスペースを少し分けて使えるようになり、生活のリズムを整えやすくなります。ただし、同じ30㎡でも、部屋の形や窓の位置、収納の量によって体感の広さは大きく変わります。
間取り図を見るときは、「○○㎡だから広い・狭い」と決めつけず、数字をきっかけにして暮らしのイメージをふくらませていくことが大切です。キッチンで料理をするときの動き、洗濯物を干す場所、仕事や勉強をするスペースなど、生活の場面ごとに想像してみましょう。
また、多くの人は畳数のほうがイメージしやすいかもしれません。ざっくりとした目安として、「1畳=1.5㎡前後」と覚えておくと、「○○㎡はだいたい○畳くらい」と見積もることができます。細かく計算しすぎず、感覚をつかむための目安として使うのがおすすめです。
一人暮らしには何㎡くらいあると安心?
一人暮らしでよく選ばれる広さは、20〜25㎡前後と言われることが多いです。寝る場所と最低限の家具を置いて暮らすなら、20㎡台前半でも生活できます。ただし、在宅で仕事をしたい場合や、趣味の物が多い場合は、もう少し広さがあるとゆとりを感じやすくなります。自分の生活スタイルや荷物の量をふり返り、「どこにどんな物を置きたいか」を考えながら、必要な広さをイメージしてみることが大切です。
家具を置くとどのくらいスペースを使う?1㎡から考えるレイアウトの基本
部屋の広さを数字で見ても、家具を置いたあとの姿を想像するのは簡単ではありません。ここでは、1㎡を基準にしながら、家具がどれくらいの広さをふさぐのかを考えてみましょう。
まず、家具のサイズ表示は、たいてい「幅×奥行き×高さ」で書かれています。広さを知りたいときは、幅と奥行きの2つに注目します。たとえば、幅100cm奥行き200cmのシングルベッドなら、1m×2mなので、広さは2㎡です。
このとき、ベッド本体の大きさだけでなく、まわりにどれくらいの通路スペースが必要かも考えることが大切です。ベッドの側面に30〜50cmほどの余裕があると、立ち上がりやすくなり、シーツも替えやすくなります。
ソファも同じです。幅150cm奥行き80cmのソファなら、1.5m×0.8mで1.2㎡です。前にはテーブルを置くことが多いので、ソファの前にも人が通れるスペースを残しておきたいところです。
クローゼットや収納家具は、奥行きが40〜60cmほどのものが多くなります。幅80cm奥行き45cmの棚なら、0.8m×0.45mで0.36㎡です。数字だけを見ると大きく感じないかもしれませんが、部屋の角に置くと、その前のスペースも実質的には使いにくくなります。
このように、家具の広さを考えるときは、
- 家具そのものが占める広さ
- そのまわりの通路や動き回るための広さ
の両方を合わせてイメージすることがポイントです。
1㎡の四角を頭の中に描きながら、「この家具は1枚ぶんか、2枚ぶんか」と見積もってみましょう。慣れてくると、家電売り場や家具屋さんを見ているだけで、自然と広さの感覚が育っていきます。
ベッドとソファを同じ部屋に置いても大丈夫な広さの目安は?
ベッドとソファを同じ部屋に置きたい場合、家具そのものだけでおおよそ3〜4㎡ほどの広さが必要になることが多いです。そこに通路やテーブル、収納のことも考えると、部屋全体としては20㎡台後半以上あると、配置の自由度が高くなります。ただし、部屋の形や窓、ドアの位置によって置きやすさは変わるため、実際には間取り図と家具のサイズを照らし合わせて考えることが大切です。
よくある部屋の広さごとのイメージ(6㎡〜30㎡くらいをざっくり)
ここからは、よく見かける広さの目安ごとに、どんな暮らし方に向いているかをざっくり見ていきます。あくまでイメージなので、実際の物件では部屋の形や設備によって体感は変わると考えてください。
まずは、おおまかな目安を表にしてみます。
| 広さの目安 | だいたいの畳数 | 向いている暮らし方 |
|---|---|---|
| 6〜8㎡ | 約4〜5畳 | 個室の一部、書斎、ミニワークスペース |
| 10〜15㎡ | 約6〜9畳 | 一人暮らしのコンパクトな部屋、寝るのが中心 |
| 20〜25㎡ | 約12〜16畳 | 一人暮らしで少しゆとりあり、趣味スペースも作りやすい |
| 30㎡前後 | 約18〜20畳 | 一人暮らしでかなりゆとり、またはコンパクトな二人暮らし |
6〜8㎡は、部屋全体というより、部屋の一部分として考えられる広さです。書斎スペースや、小さな子ども部屋、趣味の作業スペースなどに向いています。ベッドを置くとそれだけでほとんど埋まってしまうため、用途をしぼって使う広さと言えます。
10〜15㎡になると、一般的な一人暮らしの部屋のイメージに近づきます。シングルベッドとテーブル、小さな収納を置いて、最低限の生活ができる広さです。ただし、大きな家具を増やすとすぐに狭くなるので、物の量をしぼる工夫が必要になります。
20〜25㎡は、一人暮らしで少しゆとりを持ちたい人に向いています。ベッドとソファ、テーブル、収納をバランスよく置きつつ、簡単な作業スペースも作りやすくなります。在宅で仕事をする時間が増えた人にとっても、使いやすい広さです。
30㎡前後になると、一人暮らしではかなり広く感じられます。リビングスペースと寝るスペースをゆるく分けたり、趣味の道具を置く場所を確保したりしやすくなります。二人暮らしをする場合でも、物の量を工夫すれば、生活の場を整えやすい広さです。
テレワークしやすい部屋の広さはどのくらい?
テレワークをする場合、机と椅子、パソコンなどの作業スペースが必要になります。一人暮らしであれば、20㎡台前半でも工夫しだいでテレワークは可能です。ただし、ベッドと作業スペースをしっかり分けたい場合や、大きめのデスクを置きたい場合は、25㎡以上あるとレイアウトしやすくなります。自分がどのくらいの時間を仕事に使うのかを考え、無理のない範囲でスペースを確保することが大切です。
子どもにも伝えやすい!1平方メートルを体で感じる遊びアイデア
1㎡という広さは、ことばで説明するだけでは、子どもにはなかなか伝わりません。ここでは、家にある物を使って、広さを体で感じるための遊びアイデアを紹介します。
用意しやすいのは、新聞紙や広告チラシです。新聞紙を何枚か床に広げて、たて1mよこ1mくらいの大きさになるように並べてみましょう。おおよその大きさでかまわないので、子どもと一緒に「この四角が1㎡だよ」と話しながら作ってみてください。
マスキングテープを使う方法も便利です。床に直接テープを貼って、1m×1mの線を作ります。テープはあとできれいにはがせるものを選ぶと安心です。できあがった枠の中に、子どもに立ってもらったり、座ってもらったりして、どのくらいの広さかを体で感じてもらいましょう。
このとき、声かけを工夫すると、より楽しく学べます。たとえば、次のような会話が考えられます。
- 「この四角の中に、ぬいぐるみを何個置けるかな?」
- 「家族何人まで入れると思う?」
- 「ランドセルをいくつ並べられるかな?」
こうした遊びを通して、「1㎡の中に入る物の量」から広さの感覚をつかむことができます。
説明するときは、むずかしい言葉を使わなくても大丈夫です。たとえば、「ここからここまでが1メートルだよ」「この四角の広さを1平方メートルって呼ぶんだよ」といった、短い言い回しで十分です。
家にある物だけで1㎡を作るかんたんな方法はある?
家にある物だけで1㎡を作りたい場合は、メジャーやものさし、新聞紙、ひもなどを組み合わせると便利です。たて1mの長さをはかったら、その長さに合わせてひもやテープを切り、それを4本用意して四角に並べます。正確な1mでなくても、おおよその長さがそろっていれば、子どもと一緒に広さの感覚を学ぶには十分です。
数字を見ただけで広さをイメージする練習法
最後に、「○○㎡」という数字を見ただけで、おおよその広さを想像できるようになる練習方法を紹介します。
最初のステップは、1㎡のイメージをしっかり持つことです。家の中で1m×1mの四角を作り、その中に立ったり、物を置いたりしてみましょう。この体験が、広さを考えるときの基準になります。
次のステップは、「何枚ぶんか」で考えることです。たとえば、6㎡なら1㎡の四角が6枚、10㎡なら10枚あるとイメージします。実際に床に並べることはできなくても、頭の中でタイルを並べるように想像してみます。
さらに、日常生活の中でちょっとしたクイズをしてみるのもおすすめです。ラグマットやカーペットを見て、「これは何㎡くらいかな?」と予想してから、サイズ表示をチェックしてみましょう。慣れてくると、予想と実際の数字の差がだんだん小さくなっていきます。
スマホのアプリやカメラ機能には、長さを測ったり、部屋の広さをおおまかに計算してくれたりするものもあります。そうしたツールを使って、気になる場所の広さをたまに測ってみるのもよい練習になります。
広さの感覚は、一度で身につくものではありません。しかし、少しずつ数字と実際の空間を結びつけて考える習慣を持つことで、少しずつ正確さが増していきます。
長さの感覚もいっしょに身につけたい人は、20メートルを身近なものでイメージした解説もあわせて読むと、より理解しやすくなります。
メジャーがなくても、おおよその広さを知るコツはある?
メジャーがない場合でも、自分の体を目安にすることで、おおよその広さを知ることができます。たとえば、多くの大人では、片手を広げたときの指先から指先までの長さが、身長とだいたい同じくらいになります。また、足の一歩の長さをおおよそ測っておき、その歩数で距離をつかむ方法もあります。ぴったりした数字を知ることはむずかしくても、「だいたいこのくらい」という感覚を持つには十分です。
