30分って短い？長い？と聞かれると、なんとなく「中途半端な時間」というイメージを持つ人が多いかもしれません。
でも、家事や勉強、仕事、趣味にあててみると、30分は思っているよりもいろいろなことができる時間です。
この記事では、30分を「家事」「勉強」「仕事」「趣味・リラックス」「スキマ時間」という5つの場面にわけて、どんなことができるのかをやさしく紹介します。
30分ってどのくらい？まず時間のイメージをそろえよう
まずは、「30分」という時間そのもののイメージをそろえておきましょう。
1日は24時間、1時間は60分です。30分は、そのちょうど半分の長さです。数字で見ると短く感じるかもしれませんが、実際は「何もしないでいると、あっという間」「目的を決めて使うと、意外といろいろできる」という不思議な長さです。
たとえば、次のように考えると、30分のイメージがつかみやすくなります。
- 朝ドラを1本見て、ニュースを少し見るくらいの時間
- 近所のコンビニまで歩いて行って、買い物して戻ってくるくらい
- 電車やバスで、数駅ぶん移動する時間
また、15分、30分、1時間を「できることの量」で比べてみると、次のようなイメージになります。
| 時間 | できることの例 |
|---|---|
| 15分 | 簡単な片づけを一か所だけする、メールを数件チェックする、ストレッチを少しする |
| 30分 | 部屋の一部をしっかり掃除する、短い勉強を1セットする、近所を一回り散歩する |
| 1時間 | 家事をまとめて進める、テキストの1章を読む、動画を1本じっくり見る |
このように、30分は「15分では足りないけれど、1時間を使うほどでもないこと」にぴったり合う長さだと考えると分かりやすいです。
なんとなくスマホをさわっていると、気がついたら30分たっていた、という経験がある人も多いでしょう。同じ30分でも、「目的を決めてから使うかどうか」で満足度が大きく変わります。
長さの感覚もいっしょに知りたい人は、20メートルを身近なもので説明したこちらの記事も参考になります。
この記事では、「30分あったら何ができるか」を具体的に見ていきながら、時間の感覚を少しずつつかんでいきましょう。
30分で、生活は本当に変わりますか？
毎日30分だけ、何かに時間を使ったとしても、1日ごとの変化は小さく感じるかもしれません。
しかし、30分を毎日つづけると、1週間で約3時間半、1か月で15時間以上になります。少しずつでも積み重ねることで、気づいたときには大きな差になっていることが多いです。
急に何時間もがんばるよりも、短い時間をくり返すほうが、無理なくつづけやすいこともポイントです。
家事で考える30分｜短い時間でできることリスト
次に、家事の場面で「30分」を考えてみましょう。家事は毎日のことなので、短い時間でサッと進められると、とても楽になります。
家事といっても、内容はいろいろあります。ここでは、よくある家事をいくつか取り上げて、「30分でどこまでできそうか」をイメージしてみます。
たとえば、次のようなことは、30分あれば十分に手をつけられます。
- キッチンのシンクと調理台をていねいにふく
- 洗濯物をたたんで、決まった場所にしまう
- リビングの床を、そうじきがけと水ぶきまでおこなう
- たまった書類やチラシを整理して、いらないものをすてる
- 簡単なおかずを一品つくる
家事の種類ごとにまとめると、次のようなイメージです。
| 家事の種類 | 30分でできる目安 |
|---|---|
| 掃除 | 部屋一つをそうじきがけ、テーブルや棚のふきそうじ |
| 洗濯 | 洗濯物を干す、取りこむ、たたんでしまうまで |
| 料理 | 簡単な一品料理をつくる、次の日のお弁当のおかずを下ごしらえする |
| 片づけ | 机の上や引き出し一段分を整理する、紙類を分別してすてる |
ポイントは、「30分で終わる範囲をあらかじめ決めておくこと」です。
たとえば、「部屋をきれいにする」とだけ考えると、どこから手をつけていいか分からず、時間が足りなくなってしまいます。ですが、「今日は床だけそうじする」「今日はシンクとコンロだけをきれいにする」と決めておくと、30分でも達成感を得やすくなります。
朝の30分を家事にあてると、夜の自分がとても楽になります。前の晩に、明日の朝やることを三つだけ紙に書いておくと、起きてすぐに動きやすくなります。
逆に、夜の30分を使って、次の日の準備をしておくのも良い方法です。明日着る服を出しておく、かばんの中を整える、明日の朝ごはんの下ごしらえをしておくなど、小さな準備でも、翌朝のバタバタを減らすことができます。
ほかにも、短い時間でできる家事を知りたい人は、短時間でできる家事リストも参考になります。
朝の30分で、どんな家事をしておくと楽になりますか？
朝に使える30分があるなら、次のような家事がおすすめです。
- 夕食の下ごしらえを少ししておく
- 洗濯物をまわして、干すところまで終わらせる
- ゴミをまとめて出しておく
- キッチンとダイニングテーブルだけを片づける
帰ってきたときに、部屋がある程度ととのっていると、それだけで気持ちが軽くなります。朝の30分で未来の自分を助けるつもりで、できることを一つでもやっておくとよいでしょう。
勉強の30分｜毎日つづけるとどれくらい変わる？
勉強というと、「長い時間、机に向かわないと効果がない」と感じる人も多いかもしれません。しかし、集中して取り組める時間には限界があります。人によってちがいはありますが、多くの人にとって、30分前後は集中しやすい長さの一つです。
30分の勉強時間を、目的に合わせて使い分けると、毎日の学びがぐっと進みやすくなります。
たとえば、次のような組み立て方があります。
- 暗記中心の日
- 10分で前の日の復習
- 15分で新しい単語や用語を覚える
- 5分で、覚えたことをノートにまとめる
- 問題演習の日
- 20分で問題を解く
- 10分で答え合わせと、まちがえたところの見直し
- 読書やインプットの日
- 25分で本やテキストを読む
- 5分で、気づいたことをメモする
また、「25分だけ集中して、5分休む」という時間の使い方もよく知られています。これは、ポモドーロとよばれる方法をもとにした考え方で、短い集中と短い休けいをくり返すことで、疲れすぎずに勉強を進めるやり方です。
教科別に「30分の使い方」を考えると、次のようなイメージになります。
| 教科・分野 | 30分の使い方の例 |
|---|---|
| 国語 | 短い文章を一つ読んで、設問を解くところまで行う |
| 英語 | 単語帳を見て発音する、短い長文を一つ音読する |
| 数学 | 同じパターンの問題を数問まとめて解く |
| 資格勉強 | 公式の見直しと、練習問題を少しだけ解く |
大切なのは、「毎日30分」というリズムを作ることです。1日にたくさん勉強する日があっても、そのあと何日も何もやらないと、せっかく覚えた内容をわすれてしまいます。少しずつでもつづけることで、頭の中に知識が定着しやすくなります。
30分だけなら、学校や仕事から帰ってきたあとや、寝る前の時間にもとりやすい長さです。テレビや動画を少し減らして、そのぶんを勉強にあててみるのも一つの方法です。
よりくわしい勉強の進め方が知りたい人は、30分勉強法の具体的なやり方も読んでみてください。
集中力が続かないとき、30分勉強をどう工夫すればいいですか？
集中力が続かないと感じるときは、いきなり30分と決めず、もっと短く区切ってもかまいません。
たとえば、「10分だけ集中して、2分休む」を三回くり返す方法があります。短い時間なら、「少しだけがんばろう」と思いやすくなります。
また、勉強を始める前に、今日やることを一つにしぼるのもおすすめです。「教科書のここからここまで」「この問題を五問だけ」といったように、ゴールがはっきりしていると、集中しやすくなります。
大切なのは、「完ぺきに30分集中できなかったから失敗」と考えないことです。たとえ20分しかできなくても、その20分は必ず自分の力になっています。
仕事の30分｜タスクを小さく分けてサクッと進める
仕事でも、「30分しかない」と考えると何もできない気がするかもしれません。しかし、やることを小さく分けることで、30分でも進められる仕事はたくさんあります。
ここでいう「タスク」とは、「やること」を小さく分けた単位のことです。書類を作るときでも、「〇〇のデータを集める」「たたき台をつくる」「文章をととのえる」など、いくつかのタスクに分けられます。
30分の仕事時間でできることの例を、いくつか挙げてみます。
- たまっているメールを整理する
- 会議のメモをまとめて、次にやることを書き出す
- 資料の一部分だけ、じっくり読みなおす
- アイデア出しのメモを書きためる
- パソコンのデスクトップやフォルダを整理する
必要に応じて表にまとめると、次のようになります。
| 仕事の種類 | 30分でできることの例 | ポイント |
|---|---|---|
| メール・連絡 | 不要なメールを削除し、返信が必要なものに返事を書く | 件数を決めて取り組む |
| 資料作成 | 目次だけ作る、ひとつの章だけ下書きする | 完成を目指さず、途中まででよいと決める |
| 情報整理 | メモやファイルを見直し、必要なものだけ残す | 分け方のルールを先に決める |
| アイデア出し | 手書きやメモアプリに思いつくことを書き出す | 正解を求めず、とにかく数を出す |
「30分で終わる仕事」をいくつかリストにしておくと、スキマ時間ができたときに選びやすくなります。「今から30分あいたら、どのタスクを進めようか」と考えておくだけでも、時間の使い方が変わってきます。
まとまった時間がなくても、30分ごとに仕事を進めるコツはありますか？
まとまった時間がとれないときは、次のような工夫が役立ちます。
- 仕事を小さく分けて、30分で終わる単位にしておく
- その日のうちにやるタスクを三つだけ決めておく
- 30分だけタイマーをセットして、その間は一つのことに集中する
いろいろな仕事を同時に進めようとすると、どれも中途半端になりやすくなります。短い時間だからこそ、「今はこれだけ」としぼることが大切です。
趣味・リラックスに30分使うと気持ちはどう変わる？
30分という時間は、勉強や仕事だけでなく、趣味やリラックスにも向いています。少しの時間でも、自分の好きなことに使うと、気分が変わり、心が軽くなることが多いです。
たとえば、次のような過ごし方があります。
- 本やマンガを数ページだけじっくり読む
- 好きな動画を一本だけ見る
- 音楽を聞きながら、ぼんやりと休む
- 近所をゆっくり散歩する
- 軽いストレッチや体操をする
どれも、30分あれば十分に楽しめるものばかりです。毎日長い時間がとれなくても、短いリラックスタイムをはさむことで、気持ちをリセットしやすくなります。
これまで紹介してきた「家事」「勉強」「仕事」「趣味・リラックス」をまとめてみると、30分でできることは次のようになります。
| 分野 | 30分でできることの例 |
|---|---|
| 家事 | 部屋一つの掃除、洗濯物の片づけ、簡単なおかず作り |
| 勉強 | 単語の暗記、問題演習、テキストの一部を読む |
| 仕事 | メール整理、資料の下書き、情報の整理整とん |
| 趣味・リラックス | 読書、動画、散歩、ストレッチ、ゆっくりお茶を飲む |
短い時間でも、「自分のためだけの30分」を意識して作ると、生活の満足感が少しずつ高まります。
リラックスに30分使うと、時間をムダにした気分になりませんか？
たしかに、何かをがんばらないといけないと感じているときは、休むことに後ろめたさを感じるかもしれません。
しかし、ずっと気を張ったままでいると、かえって集中力が落ちたり、やる気がなくなったりしてしまいます。短い時間でも休むことで、心と体が回復し、そのあとの勉強や仕事がはかどりやすくなります。
リラックスの時間は、何もしない時間ではなく、「次にまたがんばるための準備時間」と考えると、気持ちが少し楽になるかもしれません。
スキマ時間の30分をムダにしないアイデア集
通勤や通学の時間、病院や役所での待ち時間、子どもの習い事を待っている時間など、生活の中には「なんとなく空いてしまう30分」がいくつもあります。
こうしたスキマ時間は、何も考えずにスマホを見ていると、すぐに過ぎてしまいます。一方で、あらかじめ「こういうときにはこれをする」と決めておくと、少しずつ自分のやりたいことを進めるチャンスにもなります。
シーン別に、スキマ時間の使い方の例をまとめてみましょう。
| シーン | 30分の過ごし方の例 |
|---|---|
| 通勤・通学中 | 音声でニュースやラジオを聞く、語学の音声教材を聞く |
| 病院や役所の待ち時間 | 読みたかった本を読む、メモ帳に今日やることを書く |
| 子どもの習い事の待ち時間 | 家計の見直しメモを書く、来週の予定を整理する |
| 家でなんとなく空いた時間 | 引き出し一つを片づける、ストレッチをする |
スキマ時間を上手に使うためのポイントは、次の三つです。
- スマホに「やりたいことリスト」をメモしておく
- 本やノートをカバンに一冊入れておく
- 30分で終わる小さな目標をいくつか決めておく
たとえば、「読みかけの本のここまで読む」「今日やることを三つ書き出す」といったように、すぐに始められる行動を用意しておくと、スキマ時間を見つけたときに迷わず動けます。
スマホを見ていたら30分がすぐ終わってしまいます。どうしたらいいですか？
スマホは、とても便利な道具ですが、なんとなく使っていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
もし、「気づいたら30分たっていた」ということが多いなら、次のような工夫を試してみてください。
- スマホを見る前に、「何をするために開くのか」を一言で決める
- 動画やSNSを見る時間を、タイマーで区切る
- ホーム画面の目立つ場所にあるアプリを少なくしておく
完全にやめる必要はありませんが、「今はこれだけにする」と決めるだけでも、時間の使い方が変わってきます。
時間の感覚をもっと広く知りたい人は、距離のイメージを説明した20メートルの記事もあわせて読んでみると、生活の中での「感覚」がそろいやすくなります。
30分を味方につける時間管理のコツ
ここまで見てきたように、30分あれば、家事も勉強も仕事も趣味も、いろいろなことができます。最後に、30分を味方につけるための、かんたんな時間管理のコツをまとめておきます。
まず、時間を上手に使うための基本は、「やることを一つにしぼること」です。30分という限られた時間の中で、あれもこれもと同時にやろうとすると、どれも中途半端になりがちです。
30分を使う前に、「この時間でやること」を一つだけ決めましょう。たとえば、「今日は机の上を片づける」「このページの問題だけ解く」など、終わりがイメージできるものがおすすめです。
次に、タイマーを使うことも効果的です。時計をなんとなく見るよりも、「30分」と決めてタイマーをセットすると、そのあいだは今の作業に集中しやすくなります。
また、終わったあとに自分を少しだけほめることも大切です。「今日はこれだけ進んだ」「昨日より一歩前に進んだ」と意識することで、次もまたがんばろうという気持ちがわいてきます。
それでも、予定どおりにいかない日もあるでしょう。疲れていて、30分も集中できないときもあります。そんな日は、無理にがんばりすぎず、「5分だけ机に向かう」「10分だけ片づける」といった小さな一歩に変えてもかまいません。
時間管理は、完ぺきを目指すものではなく、自分のペースを少しずつととのえていくためのものです。自分に合ったやり方を、少しずつ試していきましょう。
時間の使い方そのものをくわしく知りたい場合は、時間管理の基本をまとめた記事も参考になります。
30分をうまく使う習慣を身につける、いちばん簡単な始め方は何ですか？
いちばん簡単な始め方は、「毎日同じ時間に、30分だけ何かをする」と決めることです。
たとえば、「夜9時になったら、30分だけ机に向かう」「朝ごはんのあとに、30分だけ家事をする」といったように、時間と行動をセットにすると、習慣になりやすくなります。
始めは内容にこだわりすぎず、「とりあえず座る」「とりあえず動き始める」ことを目標にしてもかまいません。続けているうちに、自分にとってちょうどよい30分の使い方が少しずつ見えてきます。
今日から30分の使い方を少し変えてみよう
この記事では、「30分って短い？長い？」という素朴な疑問からスタートし、家事、勉強、仕事、趣味、スキマ時間という五つの場面で、30分の使い方を見てきました。
30分は、何もしなければあっという間に過ぎてしまう時間ですが、目的を決めて使えば、自分の生活を少しずつととのえてくれる大事な時間にもなります。
家事なら、部屋の一部をきれいにできます。勉強なら、単語を覚えたり、問題を解いたりできます。仕事なら、メールを整理したり、資料の一部分を進めたりできます。趣味やリラックスの時間に使えば、心と体を休めることができます。
スキマ時間の30分も、あらかじめやることを決めておけば、自分のために使える時間に変わります。
大切なのは、「完ぺきに使おう」としすぎないことです。うまくいかない日があっても、「きのうより少しだけ意識できた」「今日は5分だけでも動けた」と考えてみましょう。
今日のうちに、30分だけ確保できる時間を一つ探してみてください。そして、その時間に何をするか、一つだけ決めてやってみましょう。その小さな一歩が、明日の自分を少し楽にしてくれるかもしれません。
続ける自信がないとき、やめてしまわないために意識するとよいことは何ですか？
続ける自信がないと感じるときは、「長くつづける」ことよりも、「きょう一日だけやってみる」ことに意識を向けてみましょう。
毎日やることを決めると、できなかった日がとても気になってしまうことがあります。そんなときは、「できる日はラッキー」「できなかった日は休む日」と考えて、自分を責めすぎないようにすることも大切です。
また、小さな変化に気づいてあげることも、つづける力になります。たとえば、「机の上が前よりも片づいてきた」「前より勉強のページが進んだ」など、自分の成長を見つけてあげましょう。
完ぺきを目指さず、少しずつ30分の使い方を変えていくことで、気がついたときには、毎日の過ごし方が前よりも楽になっているかもしれません。
