だいたい測れると、何がラクになる?
メジャーや定規を毎回出すのは、地味に手間です。箱を買う前、家具を動かす前、フックを付ける前など、「今すぐ知りたいのに道具がない」場面がよくあります。そこで役立つのが、家にある物や自分の体を使って、だいたいの大きさをつかむ方法です。
ここで言う「だいたい測る」は、ミリ単位で当てることではありません。目的に合う精度で、おおよその幅・奥行き・高さ・重さを判断することです。「入るかどうか」「通るかどうか」「持てるかどうか」が分かれば十分な場面は多いです。
だいたい測れるようになると、次のようなことがラクになります。
- 収納ボックスやカゴを買うときに、サイズ違いの失敗が減る
- 模様替えで家具を動かす前に、置けるかどうか判断しやすい
- ネット通販で「思ったより大きい(小さい)」を避けやすい
- 家の中の作業が止まりにくくなり、時間のロスが減る
もちろん、正確に測るべき場面もあります。たとえば、オーダー品やリフォーム、ピッタリ合わせたい部品などは、道具で測る方が安全です。一方で、日常の判断や仮決めの段階では、だいたいの基準があるだけでスピードが上がります。
だいたい測ると失敗しませんか?
失敗を減らすコツは、用途で精度を変えることです。家具の購入や搬入がからむときは慎重に確認し、収納や仮置きはだいたいで進める、と決めます。「どれくらい正確さが必要か」を先に決めると、無理に当てにいかなくて済みます。
基準セットは3種類だけでいい(長さ・高さ/奥行き・重さ)
だいたい測れるようになろうとして、たくさんの数字を覚えると続きません。最初は、3種類だけで十分です。
- 長さ(幅や横の長さ)
- 高さ/奥行き(縦方向と、手前から奥まで)
- 重さ(持てるか、運べるか)
この3つが分かると、日常のほとんどの「入る?置ける?持てる?」に答えられます。面積や容量は、慣れてきたら後からついてきます。
まずは、自分専用の「基準セット」を作ることがゴールです。家の中の物を2〜3個、体の基準を2〜3個、重さの基準をいくつか、という感じでまとめると覚えやすいです。
面積や容量も必要ですか?
最初は必要ありません。長さが分かれば十分で、面積は「だいたいこのくらいの広さ」、容量は「だいたいこのくらい入る」という見当がつきます。まずは長さと重さの感覚を作る方が近道です。
家の中の「長さの基準」5つを決めよう(表で一覧)
家の中には、だいたいの長さをつかむのに便利な物がたくさんあります。ポイントは「いつでも手に取りやすい」「形が変わりにくい」「使う場面が多い」ことです。ここでは、基準にしやすい5つを例として紹介します。
| 日用品 | だいたいの長さ | 向く用途 |
|---|---|---|
| A4用紙 | 縦が約30cm、横が約21cm | 棚の幅、引き出しの中、書類ケース |
| スマホ | 縦がだいたい15〜16cm | 小物の幅、隙間、フック間隔 |
| クレジットカード等 | 横がだいたい8.5cm | 小箱の幅、財布やポーチ |
| 500mlペットボトル | 高さがだいたい20cm強 | 棚の高さ、カゴの深さ |
| フェイスタオル | 幅がだいたい30〜35cm | 収納ボックスの目安、洗面所まわり |
数字は目安でかまいません。大事なのは「この物を基準にする」と決めることです。たとえば棚の幅を見たときに、「A4を横に置いて何枚分くらい」と考えられるだけで判断が速くなります。
家の中の基準は、使う場所ごとに決めるのもおすすめです。キッチンならA4とカード、洗面所ならタオル、玄関ならペットボトル、というように「その場所でよく使う基準」を置くと忘れにくいです。
覚えるコツはありますか?
暗記しようとせず、用途とセットで覚えるのがコツです。「棚の高さはペットボトル何本分」「引き出しの幅はA4何枚分」のように、よく使う場面を固定します。
外でも使える「体の基準」を作る(測り方に集中)
外出先や店頭では、家の基準物を持ち歩けないことが多いです。そこで役立つのが、体の基準です。人によって大きさは違いますが、自分にとっての基準が決まっていれば、どこでも再現できます。
最初に家で一度だけ確認しておくと安心です。定規で測って、「自分のこれが何cmくらい」と知っておくだけで、外でも迷いが減ります。
| 体の部位 | だいたいの長さ | 使う場面 |
|---|---|---|
| 指1本の幅 | だいたい2cm前後 | 小さな隙間、ネジ穴の間隔 |
| 手のひらの幅 | だいたい8〜10cm | 小物の幅、袋の口 |
| 肘から指先まで | だいたい40〜50cm | 段ボールの奥行き、棚板の長さ |
| 両腕を広げた幅 | 自分の身長に近い | カーテン、ラグ、搬入幅 |
| 1歩の長さ | だいたい60〜80cm | ざっくり距離、通路の幅 |
測り方のコツは、同じ動きをくり返すことです。毎回ルールを決めると、体の基準は安定します。
人によって違うのに意味ありますか?
意味があります。体の基準は「自分専用のものさし」だからです。最初に一度だけ家で確認しておけば、外でも同じ感覚で比べられます。
高さ・奥行きが苦手でも外しにくい「見る順番」
立体は、正面から見ただけだと外しやすいです。高さと奥行きは、見方の順番を決めるとミスが減ります。
- まず角を見る(どこからどこまでが端かを決める)
- 次に基準物を当てる(A4やスマホ、手のひらなど)
- 最後に斜めから確認する(奥行きは斜めが分かりやすい)
奥行きで迷うときは、物を手前に置いて比べるのも効果的です。写真に基準物を写す方法も、あとで見返しやすいので役立ちます。
奥行きだけ外すのはなぜ?
正面から見てしまうと、奥行きは錯覚しやすいからです。斜めから端と端を意識し、基準物を当てて比べると外しにくくなります。
重さは「水の感覚」で基準を作る(持てる・運べる)
重さは数字だけだとピンときません。そこで便利なのが、水の感覚です。水は量と重さが結びつきやすく、持った感覚が基準になります。
買い物や片付けでは、重さを正確に当てるより「安全に運べるか」が重要です。次のような感覚を基準にすると実用的です。
- 500mlペットボトル1本を持った感覚
- 2Lペットボトルを持った感覚
- 買い物袋が片手でつらくなる感覚
- ゴミ袋を持ち上げて運べる限界の感覚
重さは目で分かりませんよね?
目的が「運べるかどうか」の判断なら十分です。危ない重さを避けることが大切で、迷うときは小分けにする方が安全です。
ネット通販・家具選びの“失敗しない確認手順”テンプレ
ネット通販や家具選びで多い失敗は、「置けると思ったのに入らない」「届いたけど通らない」「置けたけど使いにくい」です。これを防ぐには、確認の順番を決めるのが一番ラクです。
- ①通る(玄関、廊下、階段、エレベーター)
- ②置ける(設置場所の幅・奥行き・高さ)
- ③使える(扉や引き出しの開閉、コンセント、動線)
順番を固定するだけで、見落としは大きく減ります。とくに搬入経路は、最初に確認すると安心です。
最短で見るべき項目は?
最短なら、通る→置ける→使えるの順です。置ける場所があっても、家の中に運べなければ意味がありません。
基準セットが続く仕組み(メモ・写真・置き場所)
基準セットは、覚えるより続けることが大事です。続けるには、忘れても戻れる仕組みを作るのが近道です。
- スマホメモに「自分の基準」を短く書く
- 写真に基準物を一緒に写して残す
- よく使う場所に基準物を置く
数字をびっしり書く必要はありません。短いメモと写真があれば、次回の判断が速くなります。基準物は、使う場所に寄せるのがコツです。
結局忘れそうです…
忘れても大丈夫です。暗記ではなく、見返せる形にしておけば問題ありません。続けるほど判断が速くなり、だいたい測る精度も安定します。
